無観客でも日本中央競馬会の健闘ぶり
多くのスポーツビジネスがコロナ禍で苦悶を続ける中、健闘している団体があります。日本中央競馬会です。競馬も競馬場があり、大勢の観客が集まりレースを楽しむスポーツです。G1などのビッグレースになれば、場外馬券売り場に馬券を買い求める客でごったがえす姿は一つの風物詩でもありました。コロナ禍ではさぞや影響が大きかったかと思いきや、どうも様子が異なるようです。
日本中央競馬会では全国41カ所にある場外馬券発売所を閉じ、無観客試合としましたが、4月25日から12日間にわたって開催された第2回東京競馬の売上は1969億円とほぼ前年と同じ水準を確保、日本ダービーも233億円で前年比7.7%の減少に留めています。
競馬では、比較的早期から馬券購入についてインターネットによる取り扱いを行なってきました。馬券を求めたい客は場外発売所に赴かなくとも電話やインターネットで購入できるため、3密というリスクを賭けずとも購入できる仕組みが出来上がっています。また自分が買い求めた馬の結果による配当が目的のほとんどなので、レースは必ずしも競馬場に足を運ばずとも楽しめるという要素も持っていたとも言えるでしょう。
では野球やサッカーなどではどうでしょうか。サッカーでは競馬と同様に賭けることができるサッカーくじがありますが、大きな広がりを見せていません。プロ野球などでも導入を検討すべきとの意見もありますが、ギャンブル性の助長に対してはさまざまな意見があります。
むしろ、私は今回のコロナ禍を機に今までとは違った応援スタイルというものが出来上がるのではないかと期待しています。たとえばこれまでプロ野球の応援は選手ごとに応援歌を作り、トランペットを吹き鳴らして観客は歌い、手拍子をする。ウェーブのように立ったり座ったりを繰り返す。観客全員がジャンプする、足を踏み鳴らすなどしながら大声で声援を送る、といったものでした。
これからは双方向の情報通信設備を使って、スタジアムでは家やお店にいる観客が通信という手段を使って応援するようになるでしょう。スタジアム全体にそれぞれのファンから届く声援が音声で流され、大型化されたスコアボードにはファンからのメッセージや写真、動画などが流されるようになるでしょう。さらには応援する観客のボルテージは音だけでなく、光や映像などにも変換されて届けられるようになるでしょう。そして、こうした参加に対して料金を取るようにすれば、スタジアムの観客定員などというものもなくなりますし、全国どんな地域の人でもネットを通じて試合に参加している臨場感が生まれるかもしれません。実は収益源は無限大にあるはずです。このようにスポーツは限りなくオンラインゲームやeSports の世界に近づくのではないかと、私は考えています。
逆にスタジアムを訪れるのは少数でも高額の料金を取れるものとなるでしょう。スタンドはすべて個室化され、レストランのように食事も提供される。一定範囲で選手たちとの交流ができたり、イベントに参加できたりするなどの特典がつくものとなるでしょう。一部のVIPがスタジアムにその他の観客はネット上のスタジアムで応援、これがポスト・コロナのスポーツビジネスになっていきそうです。
牧野 知弘
オラガ総研 代表取締役
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