新型コロナウイルスの感染拡大によって不動産の世界は激変している。景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『不動産激変 コロナが変えた日本社会』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

コロナ禍、スポーツビジネスに未来はあるのか?

スポーツは観る人に感動を与え、生きる喜びを増幅させるものです。とりわけプロスポーツは興行としての色彩を帯び、人々は超人的な技を見せる選手たちの動きに心を動かされます。また野球やサッカー、ラグビーなどの集団競技は個々の選手の技術を超えて、さらにチームとしての戦略や戦術までが勝負の行方を左右し、人々は夢中になるのです。人によっては、自分の目の前で繰り広げられる勝負の数々を自身の人生になぞらえて、歓喜したり、悲嘆にくれたりもします。

 

スタジアムに行って、実際のプレーを観るのは純粋にスポーツを楽しむだけでなく、一緒に観戦する人たちとの一体感を求めに行く、という要素もあります。たとえば、プロ野球の同じチームのファンは、ホームグラウンドで行なわれる試合では、一塁側やライトスタンド側に陣取ります。基本的には、自分たちの席の周辺には相手チームのファンがやってきて相手を応援するのは、ご法度です。

 

プロ野球の観戦スタイルも大きく変わらざるをえなくなる。(※写真はイメージです/PIXTA)
プロ野球の観戦スタイルも大きく変わらざるをえなくなる。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

自分だけが試合を楽しめるのであれば別にどの席でも応援はできますし、実際にラグビーのように、観客はスタジアムのどの席にいても自分が好きなチームを応援するようなシステムになっている競技もあります。しかし、応援も一緒になって行なうことで、ファンは選手とともに相手チームと戦っているのだという一体感を求めているとも言えます。

 

ところがポスト・コロナの新生活様式では3密となることを避けるように要請されています。みんなが肩を抱き合って声の限りに声援する。得点が入るとみんなでハイタッチする、抱き合って喜びを分かち合う、そんな行為ができなくなるのです。

 

プロ野球は2020年、コロナ禍により開幕が延期され、通常開催予定から3カ月遅い6月19日、Jリーグに至っては一旦中止していたリーグ戦再開を7月4日に変更しましたが、感染状況を鑑みて観客数を調整せざるをえない事態に陥っています。

 

そもそもプロスポーツはスタジアムにやってくる観客の入場料、飲食料とテレビ、ラジオなどの放送権料および選手などの関連グッズの売上が収入源とされてきました。観客が少数でも採算が合うチームはほとんどなく、選手の年俸にも影響を与えてしまいます。

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不動産で知る日本のこれから

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