老人ホーム入居否定論者の根拠は何もない?
一つ屋根の下でみんなで生活する、という暮らし方
私は、高齢者が老人ホームで暮らすことに対し、大いに賛成の立場に立つ人間です。
これは、何も私が老人ホームの紹介センター業に関わっているからではありません。長年、高齢者介護の現場を見てきたから、そういう結論に達するのです。もちろん、自分が高齢期になり、老人ホームに入るだけの経済余力があれば、ぜひとも、老人ホームに入りたいと考えています。大げさに言えば、自分の老後は、老人ホームで生活することが目標になっているほどです。
しかし、これだけ多くの老人ホームが開設され、多くの入居者にご入居していただいているにもかかわらず、まだまだ老人ホームのことを正しく理解していただけていません。正直、ショックも受けています。特に、介護関係の職にある人たちの老人ホームへの批判的な意見には驚かされます。私の周辺にいる介護職の人たちからも、「私は老人ホームには絶対に入りたくない」という声が多く聞こえてきます。
なぜそのような声が多いのでしょうか? よくよく考えてみると明白ですが、老人ホームのことを批判的に考え、批判的な話をする人たちの多くは、実際に老人ホームに入居したことがない人たちのようです。つまり、老人ホームに入居したことがない人たちが、「老人ホームになんか入りたくない」と言っているのです。
さらには、これらの批判的な人たちは、自身が真剣に老人ホームへの入居を考えていない人たちでもあります。老人ホームは費用が高額になるので、自分たちには関係のない代物、別世界のものと考えている人も多くいます。いずれにしても、老人ホームに対するイメージだけが先行し、その後は人から聞いた話や、テレビなどのメディアが垂れ流している話を自身の空想の中でつなぎ合わせ、〝老人ホームなんてろくなものではない〟と言っているにすぎません。
「老人ホームなんか入りたくない」と考える人たちは、老人ホームという存在をいったいどのように捉えているのでしょうか。
老人ホームに入居する人は、人生の負け組なのでしょうか?
老人ホームに入るということは、人生の負け組? 老人ホームに入居しなければならない高齢者とは、自分の子供たちから支援を受けることができない気の毒な高齢者、というイメージを持っている人がいます。平たく言うと、子供たちに見捨てられた高齢者ということにもなります。