「財産はすべて長男へ」旧農家出身の父、時代遅れな発想に騒然

旧農家出身の地主の男性は、長男である自分が一家の財産をすべて受け継ぎ、それを当然のことと考えてきました。自身も70代となり、相続を意識するようになりましたが、自分と同様に、すべて長男に渡したいと考えています。妻、長女、次男といったほかの家族は何も口をはさみませんが、心の中ではそれぞれ思うところがありました。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。

土地持ちの父親、70代になって相続を意識しはじめる

今回の相談者は、70代の加藤さんです。加藤さんは約3000坪の土地を保有する、先祖代々の農家の長男でした。加藤さんが子どものころは、周囲も自分のところと同じような農家ばかりでしたが、時代の流れから農家を取り巻く状況が変化。区画整理が始まって田畑が減らされ、当初保有していた面積よりも大きく減少してしまいました。とはいえ、駅前に広い土地を所有できているおかげで、30年以上も前から、クリニックに貸したり、貸家を立てるなどして賃貸業を営み、不自由ない収入を得てきました。

 

10年ほど前からは、40代の長男も脱サラして加藤さんに土地を借り、雑貨店を経営するようになりました。そこも駅に近い立地で、堅実に収益を上げています。

 

加藤さんはこれまで、不動産賃貸業を人任せにすることなく、契約をはじめとするすべてを自分で判断して行ってきましたが、60代の半ばに差し掛かったあたりから、財産のことを少しずつ長男に任せるようになりました。長男は長男で、相続の際に困ることがないよう、書籍等を読むなどして相続対策の勉強をする傍ら、あちこちで開催されるセミナーや個別相談にも足しげく通っています。たまに父親を伴って出かけることもあります。

 

加藤さんは、今年で70歳になったこともあり、そろそろ本格的に相続のことも考えたいと思う気持ちが強くなってきました。そのため、長男に付き添われて筆者のもとを訪れたとのことでした。

 

●相続人関係図

遺言作成者 加藤幸一さん・70代
推定相続人 配偶者、長男、長女、次男

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

「跡取りがすべてを受け継ぐべき」という古い意識

筆者が加藤さんが持ってきた資料を見ると、相続税の申告が必要な財産構成となっていました。しかし、いくつかの特例を利用することで、まだ節税の方法はあります。そのため、遺産分割で揉めないためにも、遺言書の作成が必要である旨お伝えしました。

 

すると加藤さんは、大変驚いた様子で、なぜ長男以外にも財産を分けなければならないのかと筆者に疑問を投げかけました。

 

「父親の財産はすべて私が受け継ぎました。私が加藤家の跡取りだからです。弟と妹がいますが、財産はなにも渡してませんよ?」

 

「妻に財産を渡したところで、結局長男より妻が先に亡くなるわけですから、最初から長男の名義にしたほうが手間もかからないし、得なのではないですか?」

 

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株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 
相続対策専門士

京都府立大学女子短期大学卒。PHP研究所勤務後、1987年に不動産コンサルティング会社を創業。土地活用提案、賃貸管理業務を行う中で相続対策事業を開始。2001年に相続対策の専門会社として夢相続を分社。相続実務士の創始者として1万4400件の相続相談に対処。弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士など相続に関わる専門家と提携し、感情面、経済面、収益面に配慮した「オーダーメード相続」を提案、サポートしている。著書50冊累計38万部、TV・ラジオ102回、新聞・雑誌420回、セミナー500回を数える。近著に『いちばんわかりやすい 相続・贈与の本'18~'19年版』(成美堂出版)、『増補改訂版 図説 大切な人が亡くなったあとの届け出・手続き』(宝島社)ほか多数。

著者紹介

連載相続実務士発!みんなが悩んでいる「相続問題」の実例

本記事は、株式会社夢相続が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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