六本木の繁華街でホテル事業の企画を提案
ディズニーランドでは、帰るまでに観客の両手はディズニーキャラクターの商品が一杯に詰まった手提げ袋でふさがっているはずです。ディズニーランドを出て自宅へ戻る電車の中、いい歳をしたおっさんがディズニーキャップを被ったまま眠りこけていると、子供はかわいらしくともおっさんは何だか妙に滑稽に見えるのは、ディズニーの魔法が解けて現実世界に戻されているからです。
国内にはいくつものディズニーストアがあります。そこでもミッキーのぬいぐるみが多数売られています。でも不思議なものです。そこにあるミッキーはおそらく誰の目にもぬいぐるみにしか見えないはずです。ストアでの売上も一定の成果は出ているでしょうが、やはりディズニーランドは人を集めてなんぼのビジネス。そして多くのファンはディズニーランドという夢の世界を楽しむためにわざわざ集まってくるのです。
さてこうした集客型ビジネスは、今回のコロナ禍で岐路に立たされています。とりわけみんなが集まって一緒に歌う、踊るといったライブは存続さえ危ぶまれることになりそうです。ライブで歌うな、踊るな、騒ぐな、ではそもそもライブをやる意味がありません。観客が感動を伝える手段にも大きな変化が求められるかもしれません。拍手は昔からの意思表示手段ですが、声を張り上げる代わりの手段として光や画面を利用する、あるいは感動ボタンをクリックすると、その押した回数に応じてライブ会場を興奮の渦に巻き込むような音響や画像が流れるなどの新しい装置が開発されるかもしれません。
以前、六本木の繁華街でホテル事業の企画提案をしたことがあります。敷地は150坪程度。普通のビジネスホテルならば120室程度の規模のホテルになります。依頼主である土地のオーナーもビジネスホテルにするか、賃貸住宅にするか程度の考えしかありませんでした。でも土地は六本木の中でも多くの店舗が集積する一等地。視認性もよく、人の集まりやすい場所です。ただのビジネスホテルではもったいない。
私たちが提案したのがライブホテルでした。六本木にはライブハウスが多数ありますが、いずれも地下などの狭い空間にあるものが多く、収容人数にも限界がありました。そこでホテルの地下部分にライブホールを作り、大きな吹き抜けにして上層階とつなげ、1、2階にはレストランを設け、食事をとりながら演奏を楽しめるようにしました。それでも地下の床はライブでたくさんのお客さんを集めるには中途半端な広さ。レストラン客までカウントしてもたいした数にはなりません。これではあまり採算がとれない。