また、社員が一日で行なう業務内容についてはあらかじめ決めておいて、決められた時間までに成果を提出させるようになりました。オフィスであれば、管理者がその場で指示することができますが、テレワークの場合、直接指示を与えるにはどうしても情報端末上でのものになるので、一日でできる仕事をかなり詳細に組み立てるようになりました。社員から見ても、一日でやらなければならない仕事が明確になった、との声も多く聞かれます。
テレワークで判明「社員の出来、不出来」
営業職に対しても取引先への訪問に支障が出る分、情報通信端末などを利用した営業活動が求められるようになり、そのための資料作成などについて細かな指示を出すようになりました。
テレワークは、当初導入を促された多くの企業が戸惑い、試行錯誤を繰り返しながら実践されました。私自身も自分の会社でテレワークを実施しましたが、なにせ初めての試みということで、実際のやり方については取引先や知人の社長や部長と頻々に情報交換をしながらの実施となりました。
その結果、情報交換した多くの方々とほぼ一致したのが、
「意外とテレワークできちゃうね」
という結論と、
「仕事ができる社員とできない社員が明確になった」
という驚くべき事実だったのです。
なぜ社員の仕事の出来不出来がテレワークで露わになったのでしょうか。テレワークを導入する以前は、会社に社員は毎朝当然のように出社してきました。出社をするということは、別にオフィスで仕事をするということとイコールではありません。ところが朝、出勤してきた社員の顔を見る。「おはよう」とあいさつをした段階で、なんだか仕事が始まっていると多くの管理者たちは思っていました。
社員はそれぞれの組織の中に配置されています。本来は各自に与えられた業務分担や役割、責任があるはずです。出社してきて机に座ったとたんに仕事は始まっているはず。そして夕方5時になると、業務を終えた(と思われる)社員から退社する。最近は働き方改革が唱えられ、残業はしない、させない方針もあって管理者は早く業務を終わらせて社員をいち早く帰らせようとする。社員が帰ればその日の業務は終了。