日本郵政の野村不動産買収破談が示す「業界大再編」はあるか

新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

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大手不動産会社の有利子負債は膨らんでいる

私は1983年に大学を卒業して、当時の第一勧業銀行(現・みずほ銀行)に入行しました。第一勧業銀行は、1971年に第一銀行と日本勧業銀行が合併してできた銀行で、私の入行時は日本の銀行の中で「資金量日本一」を掲げていました。

 

当時の金融業界は、第一勧業銀行を含め都市銀行が13行、日本興業銀行、日本長期信用銀行、日本債券信用銀行の3行が長期信用銀行、このほかに信託銀行も含めて金融市場にはプレーヤーが数多く居並んでいました。銀行を志望する学生にとっても銘柄は色とりどりだったのです。

 

業界再編はあらゆる業界で起きている。(※写真はイメージです/PIXTA)
業界再編はあらゆる業界で起きている。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

ところが、現在はどうでしょう。都市銀行同士は合併を繰り返し、メガバンクといわれる銀行は三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3行となり、都市銀行の名称が残るのは、メガバンクにりそな銀行を加えたわずか4行になっています。

 

長期信用銀行に至ってはすでにその役割を終えて、それぞれが別の道を歩んでいます。

 

この現象は金融界のみならず、製造業やデパートなどの流通業、総合商社などあらゆる業界で生じています。

 

一方で不動産業界はどうでしょうか。実は不動産業界はこれまであまりこうした動きがとられてはきませんでした。不動産はどちらかといえばドメスティックな業界でグローバルな競争にさらされてこなかったことや、どのデベロッパーも借入金が過大なために、合併をすれば借入金が大きくなりすぎて支える金融機関がいない、あるいはどの会社も似たような事業メニューなので合併をしてもシナジー効果は期待できない、などいろいろな理由が付されてきました。

 

しかし、現在デベロッパー各社は都心再開発の波に乗って事業をひたすら拡大させています。大手不動産会社の有利子負債は膨らむ一方の状況にあります。

オラガ総研 株式会社 代表取締役

1959年、アメリカ生まれ。東京大学経済学部卒。ボストンコンサルティンググループを経て、三井不動産に勤務。2006年、J-REIT(不動産投資信託)の日本コマーシャル投資法人を上場。現在は、オラガ総研株式会社代表取締役としてホテルや不動産のアドバイザリーのほか、市場調査や講演活動を展開。主な著書に『空き家問題』『民泊ビジネス』『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』など多数。

著者紹介

連載不動産の動きを観察すれば、日本経済がわかる

不動産で知る日本のこれから

不動産で知る日本のこれから

牧野 知弘

祥伝社新書

極地的な上昇を示す地域がある一方で、地方の地価は下がり続けている。高倍率で瞬時に売れるマンションがある一方で、金を出さねば売れない物件もある。いったい日本はどうなっているのか。 「不動産のプロ」であり、多くの…

業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊

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牧野 知弘

祥伝社新書

不動産が高騰し続けている。 銀座の地価は1980年代のバブル期を上回り、三大都市圏と「札仙広福」(札幌・仙台・広島・福岡)の上昇が著しい。国内外の投資マネーの流入、外国人富裕層の購入を背景に、超大型ビルや再開発の計画…

不動産激変 コロナが変えた日本社会

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牧野 知弘

祥伝社新書

新型コロナウイルスの感染拡大によって不動産の世界は大激変している。「不動産のプロ」であり、長く現場の動向を観察してきた著者は、そう断言する。いったい、何が変わるのか?たとえば、従来社員一人当たり三坪で計算されて…

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