大手新聞社の経営を支える不動産収益
今回のバブルで戦線が伸び切ったゼネコンやデベロッパーの一部が倒産する。異常な低金利政策に翻弄された銀行が、収益構造を確立できずに金利上昇と不良債権の激増に耐えられずに窮地に陥る。割合わかりやすい展開です。
しかし平成バブル時とは異なり、今回バブルが崩壊すると、世間では「おや?」と思うような銘柄の会社が倒産するのではないかと思われます。
平成バブル時、日本の主要メディアは、
「日本の地価は、不動産価格は高すぎる」
「このままでは誰も家が買えなくなる」
と騒ぎ立て、まるで不動産を扱う会社はみんな悪魔のような扱いをされたものでした。地価は今すぐ下げるべきだと特集記事や番組を組み、実際にこうした声を受けて政府日銀は地価の収束に全力を傾けることになりました。
ところが今、銀座山野楽器前の地価は平成バブル時とほぼ並び、都心の土地の取得競争は熾烈を極めているのにもかかわらず、メディアは妙におとなしくないでしょうか。雑誌の一部で「バブル再燃」と書き立てても、大手メディアからこれに同調する記事は出てきません。
まさかアベノミクスを標榜する時の政府に「忖度」しているわけでもないのでしょうが、どうも筆が立っていないのは事実のようです。何が大手メディアの動きを鈍くさせているのでしょうか。
理由は、メディアの収益構造の変化にあります。大手新聞社である読売、朝日、毎日、日本経済、産経の各社は、国民の「新聞離れ」で新聞媒体の収益を落としていますが、この減収を補っているのが不動産収益です。各社は読売、日経、産経が大手町、朝日が有楽町、毎日が竹橋といったいずれも都内中心部に本社を構えてきました。