日本企業・投資マネーも動く豪州不動産市場
豪州不動産は、日本の企業や投資マネーにとって、すでに主要な投資先の一つとなっている。
慢性的な住宅不足という構造的課題を背景に、丸紅の賃貸マンション事業参入や、三菱地所によるシドニー近郊での大規模複合開発、積水ハウスグループによる大型住宅建設など、日本企業の投資の動きも活発である。
豪州不動産市場が投資対象として選ばれる根拠
日本企業の投資マネーがオーストラリアに向かう背景には、短期的なブームではなく、市場そのものの構造的な安定性にある。鶴氏の話をもとに、人口動態や需給関係、制度面から、豪州不動産市場の状況を整理していく。
人口増加による住宅不足
鶴氏がまず挙げたのは、「賃貸市場の逼迫(ひっぱく)」だ。たとえばシドニー中心部では、週750ドルという高い家賃が一般的な水準となっているが、一般報道によれば前年同時期(2024年9月〜2025年9月)と比べてもオーストラリア全土で価格上昇が見られ、その価値の増大により家賃もその後、上昇推移。「今年は去年よりも家賃が週40ドル上がる」という推測もあるという。
その背景にあるのが、人口の増加が供給を継続的に上回る構造だ。ジェトロのレポートによれば、オーストラリアの人口はアジアの活況な発展と共に移民流入を主因として人口の拡大が続き、直近3年間で約150万人増加している。それらによる住居の需要に対して建設コスト上昇や労働力不足が重なり、住宅の供給が追いついていない。
興味深いのは、家賃が上がる“仕組み”そのものが日本と大きく異なる点だ。鶴氏によれば、一般的に賃貸物件を確保するための内覧は土曜日に集中しがちで、1回あたり15分前後という短時間に多くの希望者が集まり、そのなかで希望者が賃貸申請し、借り手が選ばれる。つまり、借り手同士、賃貸物件確保のための競争を生んでいる状態である。
管理会社は公募時点で設定家賃を引き上げることはできないが、借り手側が「どうしても住みたい」物件に対して週20ドル、30ドルと上乗せした条件を提示するケースもあるとのこと。
こうした需給環境から、需要の強いエリアほど家賃は押し上げられ、「今年もキャピタルゲイン(価格上昇)とインカムゲイン(家賃収入)の両方が期待できる『ダブルベネフィット』という投資家有利な状況が起こり得る」と鶴氏は見立てる。
オーナーの権利重視の管理体制
豪州不動産の強みの一つとして、日本と比較し「圧倒的にオーナーに有利な点」にあると鶴氏は語る。
州ごとの賃貸ルールに基づき、年2〜4回程度、住宅管理会社が物件内部を撮影し、オーナーへ報告する制度が広く定着している。オーナー自身も、書面で事前通知を行い、テナントのプライバシーを守ったうえで実際の物件の屋内視察が可能とのこと。
家賃滞納の際も対応は迅速で、裁判所にて悪質とみなされた場合は、法的手続きを経て退去に至るケースもある。一年毎の契約更新時には、市場に反映した家賃増額が前提になりがちで、借り手、貸し手双方において翌年の契約を事前に確認することができる。
「オーストラリアでは法治国家でオーナー(貸主)の権利保護は徹底され、法的に明確な運用がなされている」と鶴氏は語る。
オーストラリアへの不動産投資で失敗しないために
このように市場としての魅力が高い豪州不動産だが、環境がいいからといって、すべての投資が成功するわけではない。重要なのは、「どこが強い市場か」を分析するだけでなく、投資家自身がなにを基準に投資をするのかだ。
ここでは、鶴氏が重視する2つの視点から、失敗を避けるためのポイントを整理する。

「いつ買うか」という投資開始のタイミング
鶴氏は「これほど有利な市場なのですべての豪州不動産が上がる、という判断には注意が必要」と明かす。どのタイミングで、どんな物件を買うかによって結果は大きく変わるからだ。
すでに値上がりきったあとの物件を買った場合、短期間でのリターンは限定的になる。過去のデータを研究・分析し、これから伸びるエリアかどうかを見極める選別が欠かせない。
「誰から買うか」という業者選定
もう一つ重要なのが、業者選びだ。前述の話とは逆に、「豪州不動産は全部下がる」と言い切る会社の話を聞くこともあったそうだ。「それは市場ではなく、扱っている物件の問題である可能性が高い」と鶴氏は指摘する。
価値に対して高すぎる物件を販売すれば、価格が調整されるのは当然だ。リスク地域や訴訟物件など危険な投資を勧める場合には資産価値が確保できないどころか、損失にもつながる。だからこそ、投資家にとって「なぜこのエリアなのか、なぜこの物件なのか」を論理的に説明できる専門家の支えが不可欠だ。
「最終的には売り手、買い手のみならず、借り手にとっても幸せを感じられる優良な物件を厳選し、資産として確立し将来の暮らしを護ることが大事である」と鶴氏は強調する。
豪州不動産市場で強固な地位を築いたGIM
では、数ある不動産関連事業者のなかで、GIMはなぜ豪州不動産市場で独自のポジションを築いてきたのか。
カギとなるのは、正確な情報収集や取り扱いプロジェクトの量、信頼できる数々のディベロッパーや建設関連業者との協業体制やそれらからの情報に基づいた深い分析力、そして購入後まで見据えた顧客支援体制にある。鶴氏が重視する具体的なポイントを見ていこう。

豊富な在庫と情報を俯瞰し「Xファクター」を見極める
GIMが販売している物件は約5,500件に及ぶ。鶴氏は「すべてを客観的に比較しているからこそ、最新の実態やエリアごとの違い、価格と価値のズレがわかる」と語る。
膨大なデータを比較することで、「すでに上がった場所」「これから伸びる場所」「割安に推移している物件」を見極めることが可能になる。さらに重視するのは、街の成長要因を示す「Xファクター(特定の要素)」だ。
ショッピングセンター計画、道路整備、鉄道や公共交通の延伸など、将来性を裏付けるXファクターがある地域は、一般的な伸びだけではなく、通常以上の成長を期待できる可能性があるという。
クイーンズランドで“上がる前”をつかんだ過去事例
典型的な例が、コロナ禍前にGIMが主流として推奨していたクイーンズランド州(ブリスベン/ゴールドコースト)の不動産だ。
空港・港といった物流拠点や新公共交通機関の充実、さらには2032年のオリンピック開催に向けての現地の再開発など、複数の成長要因が重なっていた。当時紹介していた3,600万円前後のタウンハウスや4,000万円台の戸建住宅は、5年以内で2,000~4,000万円の資産価値が上がったという。まさに、時勢を見極めた好例と言える。
「不動産価格が上がる前の段階で皆様にご紹介し、その“結果”を堪能いただきたい」と、要因に着目して顧客の成功と満足を重視するこの姿勢が、GIMの提案の核にある。
さらに、こうした分析力を裏付ける実績の一つが、メルボルンの高級ホテル「ザ・リッツ・カールトンホテル」併設レジデンスだ。GIMには99名の購入希望者が集まり、一時期売上実績が全豪2位を記録した。これは、GIMが提供する情報の質と、市場からの信頼の高さを端的に示している。実際に、希望者全員への内覧や300を超える自社作成のバーチャル内覧動画も提供したそうだ。
日本人専門家による透明性の高い投資環境
海外不動産投資で多くの投資家が不安を抱くのが、現地での法律や権利関係、商習慣の分かりにくさだ。
GIMではこの解決策の一つとして、日本人専門家の紹介により、投資家の安心を支える努力を行っている。たとえば、現地の日本人の弁護士や会計士、希望によっては銀行員などを紹介する体制を構築している。
日本語での契約内容やスキームを解説し、不透明な要素を極力排除。「どこにリスクがあり、どこが安全なのか」を明確にしたうえで判断できる環境を整えようとしている。
購入後も“監督する”ことで築く信頼の絆
GIMのサポートは、購入して終わりではない。現地の有力管理会社と連携し、管理状況や市場変化を継続的に把握する。
「なぜ今年はこれだけしか上がっていないのか」「修理が必要といわれたが、実態はどうか」といった問いを投げ、オーナーの意思決定を支える。鶴氏はこれを「現地管理というより、監視・監督する感覚」と表現する。
実際、購入から2年ほどで次の投資先を検討するリピーターともいえる複数購入者も多く、長期的な関係を前提に支え続けるスタイルがGIMの特徴だ。
「一軒目で失敗をすれば、次のご要望はあり得ない。毎回、軌跡の積み重ねである」と意識を高く保っているという。
投資家たちから支持されるワケ
鶴氏は、日本で住宅設備機器メーカーの国際本部に勤務した後、オーストラリアで法学大学院(LLM)を修了し、現地法律事務所での実務経験を経て2010年にGIMを創業。
法律の知見は、現在の不動産事業にも生かされている。法律とビジネスの両面からオーストラリアを見てきたからこそ、同国を「投資先」として評価する視点がある。
英語圏ならではの契約の透明性や外国人でも物件取得が可能な制度に加え、地理的な近さや耐久性の高い建物構造など、鶴氏はオーストラリアの安心材料を挙げる。「法律が厳しい国であることは、投資家にとって大きなメリット。こうした手堅さと堅実性こそが豪州不動産の魅力なので、慎重で計画的な日本人の国民性ともマッチしている」
もっとも、これまで見てきたように、成果を左右するのは「オーストラリアだから」だけではない。どの都市・エリア・物件を選ぶか、分析結果を基に厳選された優良物件に対して投資することが重要だ。
約5,500件の在庫を俯瞰し、成長要因を見極め、購入後も伴走する——
「将来性ある不動産、資産価値ある不労資産を通じて安心できる暮らしを届けたい」という姿勢こそが、GIMが投資家から支持される理由だ。
