増え続けるマンションの「空き室」。それでもマンションの新設着工戸数の勢いは止まらない。こうした「マンション余り」が問題となるなか、建て替えもできず耐震対策の進まない古いマンションが危険視されている。命の危険の可能性もある空き室だらけのマンションを放置しておけば、行きつく先はスラム化である。今こそ立地や設備のイーズを正しく踏まえた価値のあるマンションを建て、危険な古いマンションに関しては、政府主導で対策をたてていくべきだ。*本記事は、一級建築士である熊澤茂樹氏、安井秀夫氏の共著『これからのマンションに必要な50の条件』(幻冬舎MC)から抜粋、再編集したものです。

新築・引き渡しから解体まで…マンションの一生

集合住宅は時代のなかでさまざまな変遷をたどってきましたが、建物の劣化や老朽化を免れることはできません。一棟のマンションが竣工されて、立て替えを経て解体を迎えるまではまさしく人の一生と同じです。さまざまな段階とそこでポイントとなる事項を併せてお伝えしましょう。

 

●新築・引き渡しまで

 

設計、施工を経て引き渡しを迎えます。マンションが入居者の安全と健康を守り、快適な毎日を提供することは第一条件ですが、日々の管理やメンテナンスを適切に行うこと、そして何より建物に愛着を持つことが重要です。

 

賃貸の場合は大切に住み続けてくれるような良い入居者に選んでもらえるように努めたいものです。必要に応じて、適切な情報をすみやかに告知するために、管理人もしくは所有者と、住人がきちんとコミュニケーションを取ることが大切です。

 

●居住・管理

 

マンションの成長期ともいえます。マンションは住む人の一生を見守る立場でもあり、賃貸・分譲の別なく、住む人のライフサイクルの変化によって必ず入退去の時期が訪れます。退去手続き、あるいは売却や賃貸、相続など、必要な手続きを経て、また状況に応じてクリーニングやリフォームを行って新しい住人を迎えます。

 

マンションの所有者あるいは管理者は、定期的なメンテナンスのほか、適宜細部まで状況をチェックして手入れをすることでマンションの寿命を延ばすことができます。外壁の汚れや設備の不具合などは小さな変化のうちに見つけて対応することで、人が定期的に健康診断を受けるように、大きなトラブルを食い止めることもできます。

本連載は、2018年2月28日刊行の書籍『これからのマンションに必要な50の条件』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

これからのマンションに必要な50の条件

これからのマンションに必要な50の条件

熊澤 茂樹,安井 秀夫

幻冬舎メディアコンサルティング

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