増え続けるマンションの「空き室」。それでもマンションの新設着工戸数の勢いは止まらない。こうした「マンション余り」が問題となるなか、建て替えもできず耐震対策の進まない古いマンションが危険視されている。命の危険の可能性もある空き室だらけのマンションを放置しておけば、行きつく先はスラム化である。今こそ立地や設備のイーズを正しく踏まえた価値のあるマンションを建て、危険な古いマンションに関しては、政府主導で対策をたてていくべきだ。*本記事は、一級建築士である熊澤茂樹氏、安井秀夫氏の共著『これからのマンションに必要な50の条件』(幻冬舎MC)から抜粋、再編集したものです。

2014年末で全国のマンションストックは約613万戸であり、総住宅数の1割以上を占めます。以下の図表1のグラフを見ると、新規供給戸数は経済状況などによって推移しているものの、ストックの数は右肩上がりに増加していることが分かります。

 

[図表1]全国のマンションストック戸数

国土交通省「住生活基本計画 参考資料」より
国土交通省「住生活基本計画 参考資料」より

 

こうした「マンションが余っている」理由には、新設着工戸数の勢いが止まらないこともありますが、現状のストックを積極的に活かせていないことや、取り壊すべき建物がそのまま残っていることも関係しています。

 

空き家は所有者の判断一つで解体の選択もできますが、マンションなどの集合住宅は解体に莫大な費用がかかるうえ、特に分譲の場合は区分所有者の合意が集まらないと何もできません。その意味でマンションは「不良ストック化しやすい」建物なのです。

マンションの最悪の結末「スラム化」

空き家が地域に悪影響を及ぼすように、空き室の増加はマンションのスラム化を引き起こします。またさまざまな理由で建て替えが進まず耐震工事も行えずにいると、万一の事態が起こったとき命に危険を及ぼしかねません。

本連載は、2018年2月28日刊行の書籍『これからのマンションに必要な50の条件』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

これからのマンションに必要な50の条件

これからのマンションに必要な50の条件

熊澤 茂樹,安井 秀夫

幻冬舎メディアコンサルティング

供給過多により空室リスク・管理不全を回避せよ! マンションの資産価値を高め、数十年先も安定収入を生み出すために知っておくべき50の条件 2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向け、都心部を中心にマンシ…

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