息子が老父を呼び寄せ…高齢者は賃貸も借りられない理不尽

新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

賃貸住宅を借りることが困難な高齢者

「住宅は賃貸がよいか、所有がよいか」という論争が日本では果てしなく続けられていますが、所有がよいという人の理屈の中で、

 

「賃貸住宅は高齢者になると大家さんが貸してくれなくなるので心配」

 

という話があります。

 

高齢者はあまり歓迎できないお客さんである。
高齢者はあまり歓迎できないお客さんである。

 

たしかに、貸し手側から見ると、高齢者というのはあまり歓迎できないテナントのようです。高齢者は一度入居したら出ていかない。入居率の確保が課題となっている賃貸住宅も増えたのでこのこと自体はあまりマイナス要因とはいえませんが、最大のリスクが孤独死です。ある日室内で亡くなっていたりすれば、その後片付けは大変なことになります。特殊清掃という業務がありますが、ご遺体の発見が遅れれば遅れるほど、室内の清掃は大変なことになります。他の住民に迷惑がかかることも多く、退去につながるリスクもあります。

 

私の知人で、80歳を超えて郊外の自宅で一人暮らしを続けるお父さまを説得して自宅を売却、都心の賃貸マンションを借りようとした人がいますが、彼曰く、

 

「どこに行っても年寄りは困ると言われて本当にまいりました」

 

なんとか保証人である知人がすぐ近くにいて、いざという時には駆けつける態勢が整っていることを説明して、入居を承諾してもらったとのことでした。ちなみにその知人は経済的にも恵まれた方で、家賃の支払いにもなんら支障のない方ですが、そんな条件でも入居に苦労したという話を聞くと、「所有派」の方が指摘する不安もわかるというものです。

 

しかし、今後はどうでしょうか。2013年現在、日本全国で空き家数は約820万戸といわれていますが、実はそのうちの約半数の429万戸は賃貸用住戸の空き家といいます。空き家のうち東京都内の空き家は 81 万7000戸にも及んでいますが、そのうちの7割強にあたる59万8000戸が賃貸用住宅の空き家です。

オラガ総研 株式会社 代表取締役

1959年、アメリカ生まれ。東京大学経済学部卒。ボストンコンサルティンググループを経て、三井不動産に勤務。2006年、J-REIT(不動産投資信託)の日本コマーシャル投資法人を上場。現在は、オラガ総研株式会社代表取締役としてホテルや不動産のアドバイザリーのほか、市場調査や講演活動を展開。主な著書に『空き家問題』『民泊ビジネス』『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』など多数。

著者紹介

連載不動産の動きを観察すれば、日本経済がわかる

業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊

業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊

牧野 知弘

祥伝社新書

不動産が高騰し続けている。 銀座の地価は1980年代のバブル期を上回り、三大都市圏と「札仙広福」(札幌・仙台・広島・福岡)の上昇が著しい。国内外の投資マネーの流入、外国人富裕層の購入を背景に、超大型ビルや再開発の計画…

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