新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

ソニーとヤフーが不動産業界に殴り込み

また別の人は自分の家が「こんなに高くなっているんだ」と感激して売りに出すかもしれない。中古不動産を物色している人にとっては、同じマンションでも価格の違いがよくわかる。また売りに出ていない物件だけどその住戸を指定してアプローチする人が出てくるかもしれない。

 

牧野知弘著『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)
牧野知弘著『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)

うわっ、こう考えると、けっこう大変なことが起こりそうですし、業界的には面白いツールになりそうです。こんなことを考える人はまさに不動産業界の人ではなく、理科系の「オタク」青年を彷彿とさせる人たちです。

 

すでに不動産仲介の世界ではソニー不動産(現SREホールディングス)やヤフー不動産のようにマンションの「売り」と「買い」をネット上でマッチングさせる試みがスタートしています。またVR(バーチャルリアリティ)のツールを使って、直接現地に行って物件を見なくとも部屋の中や周辺の環境を居ながらにして体感できるようになりました。

 

マレーシアのジョホールバルという都市はシンガポールの北側に位置し、シンガポールの住宅難を逃れてきた人たちやシンガポールに通うマレーシア人などが住宅を求めることから、数多くのコンドミニアムが建設され、その土地の値上がりを見込んで世界中から投資マネーが集まったことで有名になりました。

 

このコンドミニアムに対する投資はパソコンだけで決済されます。価格は物件にもよりますが、初期の頃は日本円で800万円から1000万円程度と手ごろな価格だったことも手伝って、日本人からの投資も多くありました。

 

またこうしたIoTの発達は、不動産賃貸借契約仲介業務などの簡素化にもつながり始めました。これまで「対面」が基本であった不動産賃貸の際の「重要事項説明」については2017年10月からITを介したテレビ会議など、システム上での説明が解禁となりました。

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