貸せない、売れない、住まない「負動産」…団塊ジュニアの末路

新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

団塊世代の親が築いた家は「財産」ではなくなる

不動産はこれまで、所有していれば価値がある「財産」として多くの国民が認識してきました。高度成長期から平成バブル時まで不動産はほぼ一貫して「右肩上がり」の成長を続け、一般庶民はとりあえず家さえ持つことができれば財産形成ができるとされました。

 

とりわけ1970年代から80年代にかけて、多くの若者が地方から東京などの大都市の学校で学び、企業に就職して「勤労者」の道を選ぶようになりました。団塊世代はその典型的な世代といえましょう。彼らの多くは地方に戻ることはなく、そのまま家族を持ち、大都市で定住するようになりました。定住するために彼らが求めたのは財産である「家」でした。

 

「貸せない」「売れない」「自分も住む予定がない」という三重苦の不動産が急増中。
「貸せない」「売れない」「自分も住む予定がない」という三重苦の不動産が急増中。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

都心の地価は高すぎて手が出なかった彼らは、都心から郊外へと放射線状に延びる鉄道沿線に家を買い求め、長時間の通勤ラッシュと長期間にわたる住宅ローンの返済に耐えて生活を営んできました。

 

そんな彼らも定年退職。住宅ローンに次ぐ多大な教育費をかけて育てた子供たちも無事に巣立って、夫婦水入らずの老後生活を送っているご家庭も多いのではないでしょうか。

 

しかし、こうして手に入れた生活は今後、子供たちや孫たちの代へと引き継がれていくのでしょうか。家という財産を持ったのだから、この財産は次の代へと当然のように引き継がれていくべきなのですが、子供たちは都心のマンション住まい。家に帰ってくることなど考えられません。

 

それでは自分たちが亡くなった後の家はどうなるのでしょうか。子供たちが住まないとしても家は「財産」なのだから、子供たちの生活を豊かにしてくれるものになるはずです。ところが、事態はあまり良い方向には向かっていないようです。彼らが汗水垂らしてやっとの思いで手に入れた家が「財産」ではなくなりつつあるからです。

オラガ総研 株式会社 代表取締役

1959年、アメリカ生まれ。東京大学経済学部卒。ボストンコンサルティンググループを経て、三井不動産に勤務。2006年、J-REIT(不動産投資信託)の日本コマーシャル投資法人を上場。現在は、オラガ総研株式会社代表取締役としてホテルや不動産のアドバイザリーのほか、市場調査や講演活動を展開。主な著書に『空き家問題』『民泊ビジネス』『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』など多数。

著者紹介

連載不動産の動きを観察すれば、日本経済がわかる

業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊

業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊

牧野 知弘

祥伝社新書

不動産が高騰し続けている。 銀座の地価は1980年代のバブル期を上回り、三大都市圏と「札仙広福」(札幌・仙台・広島・福岡)の上昇が著しい。国内外の投資マネーの流入、外国人富裕層の購入を背景に、超大型ビルや再開発の計画…

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