新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

無理な借入金を行うと最後は身ぐるみ剥がされる?

今回のバブルが崩壊すると、甚大な被害が予想されるのが、節税対策を施した(つもりだった)湾岸タワマンオーナーや郊外部のアパートオーナーです。

 

いつの時代でも、無理な借入金を行なうと最後は身ぐるみ剝がされるというのは、真鍋昌平さんの漫画『闇金ウシジマくん』でも繰り返し描かれている世界です。借入金は予定通りに返済できているときには、自分の生活基盤が一段上がったかのような気持ちになれます。

 

多くの不動産オーナーが節税対策を行なうことばかりに集中しすぎている。(※写真はイメージです/PIXTA)
多くの不動産オーナーは節税対策を行なうことばかりに集中しすぎている。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

しかし、借入金はどんなに金利が低くとも、元本を返済しない限りは、返済の呪縛から逃れることはできません。そして元本を返済するだけの「稼ぎ」を確保するには、自らの事業が順調に稼げているかを常にチェックする必要があります。

 

私は長らく不動産の仕事に関わってきて、相続を中心としたいわゆる「節税対策」の不動産投資の実態をつぶさに見てきましたが、どうも多くの不動産オーナーが節税対策を行なうことばかりに考えが集中して、借入金の返済について「深く考えていない」のではないかと思われるケースが多いことに驚いています。

 

一方でメディアを中心に、こうした節税対策をセールスする側が、リスクに対する説明を十分に行なわず、高齢者などの不動産オーナーが「騙される」ことを社会問題として大きく取り上げる傾向にあります。

 

もちろん、世の中には悪い業者も存在することは事実です。特に不動産業界は、業に携わる自分が言うのもなんですが、魑魅魍魎が跋扈する世界でもあります。

 

しかし、たまたま訪ねてきたセールスマンの感じが良かったとか、とても人を騙すようには見えなかったというだけの理由で、何千万あるいは何億もするようなアパート投資やマンション投資を行なうのは、不動産オーナー側にも「事業」を行なう上であまりに見識がなく、そして無防備すぎるようにも見えます。

アパート建設についていえば、たくさんの土地を所有するオーナーであれば、ほぼ必ず業者や銀行がやってきて有利な節税対策になるとのセールスを受けたことが一度や二度ならずあるはずです。実際に更地で所有したままで相続が発生するよりもアパートなどの賃貸建物を、借入金を活用して建設し、運用を行なった上で相続を迎えるほうが、相続税ははるかに安くなるというのはそのとおりです。

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不動産で知る日本のこれから

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