健康で文化的な最低限度の生活ができない人に対するセーフティネットである「生活保護」。その受給者は2015年のピーク時から徐々に減少傾向にあるといわれていますが、それでも年平均200万人もの人が受給しています。今回、東京都23区に焦点をあて、生活保護の実態を紐解いていきます。
東京23区「生活保護」調査…保護率トップは「足立区」だが、「増加率」トップは都心3区の一角。東京のド真ん中で「生活保護受給者」が激増しているワケ ※写真はイメージです/PIXTA

生活保護受給者、減少傾向も高水準が続くが…

厚生労働省『被保護者調査』によると、2024年9月、生活保護受給者数は200万7,830人、165万0,802世帯でした。

 

生活保護受給者数は1980年代中ごろを境に減少。1995年ごろを底にして上昇傾向に。1990年代後半の金融危機、ITバブル崩壊、リーマンショック、東日本大震災などの危機を経て、2015年に216万人をピークに近年は緩やかに減少傾向にあります。ただ生活保護受給者200万人超えというのは、1950年代前半の水準。一概に比較することはできませんが、生活に困窮し、生活保護に頼らざるを得ない人が200万人いるという事実は変わりません。

 

都道府県別にみていくと、2022年、生活保護率(被保護実人員の1ヵ月平均÷各年10月1日現在総務省推計人口(総人口)×1,000)が最も高いのは「沖縄県」で2.24%。「北海道」「青森県」「福岡県」と続き、「東京都」は第5位。東京都のような大都市は貧困に直面しやすい単身高齢者や、母子世帯が多くなり、生活保護率を押し上げています。

 

東京都に焦点を絞り、生活保護の実態に迫っていきましょう。東京都福祉局『令和5年度福祉統計年報編』によると、生活保護世帯は23万1,299世帯。15年ほど前の2010年の生活保護世帯数を100とすると、2023年は118.5。ここ5年は118台で推移しています。

 

生活保護世帯を詳しくみていくと、家族のなかに働いていない人のいない世帯は全体の84.7%と圧倒的。一方で世帯主が常勤で働いているのにも関わらず生活保護を受けているのは全体の9.8%。このなかには、働いているにもかかわらず十分な収入を得られず貧困状態にある、いわゆるワーキングプアが相当数いると考えられます。

 

また単身者の割合が85.6%。また65歳以上の割合は58.2%と、最新の全国平均54.9%と比較すると、若干、高齢受給者が多いといえるでしょう。

 

2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」来場登録受付中>>