新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

「2020年マンション大崩壊」は本当か?

私は2015年8月『2020年マンション大崩壊』(文春新書)を上梓しました。

 

この新書は、やがてくるであろうマンションにおける住民の高齢化と建物の老朽化の問題を、区分所有という曖昧な法律概念のもとで形作られたマンションコミュニティーの崩壊ととらえ、その危険性に警鐘を鳴らしたものでした。おかげさまで大きな反響をいただき、多くのメディアからの取材や講演依頼を頂戴しました。

 

当時はまだ、大崩壊というような表現に対しては「大袈裟だ」「そんなことあるわけがない」といった反論や疑問もいただきましたが、これからの「多死社会、大量相続時代」において、この問題はますますクローズアップされてきそうです。

 

マンション大崩壊時代がやってくる。(※写真はイメージです/PIXTA)
マンション大崩壊時代がやってくる。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

人は自分に関係がなくなり、関心が薄れたものはなるべく遠ざけようとする習性があると言いました。この問題は戸建ての家ばかりではなく、すでにマンションの現場でも起こっています。リゾートマンションのスラム化です。

 

平成バブル時には越後湯沢のリゾートマンションが飛ぶように売れました。みんながマンションを買ってまでもスキーを楽しみたいという欲望に駆られて買い求めたのが、現地に聳え立つ57棟のリゾートマンションです。

 

30年が経過した現在、これらのリゾートマンションの部屋は物件によっては売り値わずか10万円でネットに晒 されています。10万円という売り値は、つまりまったく値段がつかないゴミということです。株式でいえば、倒産間近な銘柄が1円で売られているのと同じことです。

 

かつて若者で大いに賑わったゲレンデは、今や高齢スキーヤーと地元客ばかりです。リゾートマンションを購入した人たちの多くは、その後はスキーをやらなくなり、その息子・娘たちはもっぱらスマホでのゲームに夢中で、真冬の最中にゲレンデにやってきてスキー、スノボをするなんてまっぴら御免といったところです。

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不動産で知る日本のこれから

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牧野 知弘

祥伝社新書

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業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊

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牧野 知弘

祥伝社新書

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