築20年超タワマン急増…大規模修繕の成否が資産価値を決める

新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

築古は「新耐震設計基準」以前の建物 

築古とは読んで字のごとく「築年が古い」、つまり建物の竣工年が古いということ ですが、どのくらいの年数をもって「築古」と呼ぶのでしょうか。

 

日本の場合、まずわかりやすい分水嶺があります。耐震基準です。日本は地震が多い国ですので、建物は一定の揺れに対しても耐えることができる構造である必要があります。この構造の基準が耐震基準というものです。

 

通常建物は築20年を超えると大規模修繕が必要になる。(※写真はイメージです/PIXTA)
通常建物は築20年を超えると大規模修繕が必要になる。(※写真はイメージです/PIXTA)

 

法律上最初に耐震基準が定められたのは、関東大震災の翌年である1942年といわれていますが、基準はその後に生じた度重なる地震の発生を経て改正され、現在採用されている建物の耐震基準は1981年に施行された「新耐震設計基準」です。

 

実際には1981年6月以降に建築許可が下りた建物から採用されていますので、建物の竣工年では判断はできませんが、おおむね1983年以降竣工の建物であればほとんどがいわゆる「新耐震基準」といって差しつかえないかと思います。

 

現在、この新耐震基準は不動産を選択する上での大きな判断材料となっています。投資家などから資金を募って不動産に投資を行なう、不動産ファンドやREIT(不動産投資信託)は、基本的には「旧耐震基準」で建設された不動産は取得しない方針のところが多いようです。

 

また、オフィスビルのテナントでも、最近では旧耐震のビルには入居しないところが増えてきました。とりわけ2011年3月に発生した東日本大震災以降は、地震に対するリスク感度が大幅に向上していて、ビルを選択する際に真っ先に挙がる条件の一つになっています。

 

この影響で、旧耐震ビルでは、周囲の新耐震基準のビルに比べて低廉な賃料を提示せざるをえず、オフィス市場では競合上の大きなディスアドバンテッジになっています。

 

この影響はオフィスビルだけではなく、病院、店舗、ホテルや旅館といった不特定多数の人が利用する施設や、老人ホーム、学校など避難に配慮を必要とする施設にも及んでいます。

オラガ総研 株式会社 代表取締役

1959年、アメリカ生まれ。東京大学経済学部卒。ボストンコンサルティンググループを経て、三井不動産に勤務。2006年、J-REIT(不動産投資信託)の日本コマーシャル投資法人を上場。現在は、オラガ総研株式会社代表取締役としてホテルや不動産のアドバイザリーのほか、市場調査や講演活動を展開。主な著書に『空き家問題』『民泊ビジネス』『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』など多数。

著者紹介

連載不動産の動きを観察すれば、日本経済がわかる

不動産で知る日本のこれから

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牧野 知弘

祥伝社新書

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業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊

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