60~70代の4人きょうだいに発生した相続問題。公務員を勤め上げた母親には、退職金も年金もあったはずなのに、遺産は古い狭小住宅と、預貯金300万円のみ。長兄はかつて受けた贈与を理由に相続を辞退、弟は葬儀費用の残りで十分と遠慮がちですが、実際のところは…。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。
60代・70代の高齢兄弟姉妹に発生した「相続問題」
今回の相談者は、70代の専業主婦のYさんです。90代で亡くなった母親の相続について相談したいとのことでした。
Yさんは4人きょうだいの2番目で長女です。上に長男(70代)、下に次女(60代)、次男(60代)がいます。父親が亡くなったのは40年以上前で、その後、公務員をしていた母親はずっとひとり暮らしをしてきました。
4人の兄弟姉妹は全員20代で結婚したあと実家を離れ、それぞれ通勤に便利な場所へ自宅を購入しています。そのため、だれも残された母親と同居することはありませんでした。
母親の老後を看たのは、近居する次男
実家のいちばん近くに住んでいるのは次男で、車でも数分の距離です。そのため、なにかと母親の面倒を看てくれていたといいます。
夫に先立たれたあとも気丈にひとり暮らしを続けていた母親ですが、いよいよ80代後半にさしかかり、介護施設に入所することになりました。その際の手続きや、手元に残っていた預金の管理、そして空き家となった実家の管理なども、すべて次男が家族ぐるみでしてくれていたといいます。その点については、Yさんの母親をはじめ、ほかの兄弟姉妹もみんな感謝しています。
次男以外の子どもたちも、実家からさほど遠くはないところに暮らしているとはいえ、それぞれ多忙な仕事についていたり、配偶者の親の介護をしていたりと、実母の世話に専念することはできなかったそうです。
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
京都府立大学女子短期大学卒。PHP研究所勤務後、1987年に不動産コンサルティング会社を創業。土地活用提案、賃貸管理業務を行う中で相続対策事業を開始。2001年に相続対策の専門会社として夢相続を分社。相続実務士の創始者として1万4400件の相続相談に対処。弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士など相続に関わる専門家と提携し、感情面、経済面、収益面に配慮した「オーダーメード相続」を提案、サポートしている。
著書65冊累計58万部、TV・ラジオ出演127回、新聞・雑誌掲載810回、セミナー登壇578回を数える。著書に、『図解でわかる 相続発生後でも間に合う完全節税マニュアル 改訂新版』(幻冬舎メディアコンサルティング)、『図解90分でわかる!相続実務士が解決!財産を減らさない相続対策』(クロスメディア・パブリッシング)、『図解 身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本 2021年版 (別冊ESSE) 』(扶桑社)など多数。
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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