近年では離婚や再婚が増加傾向であり、それに伴って家族関係が複雑になるケースも増えています。いまは円満な関係でも、相続となった段で問題が生じるリスクもあるため「遺言書」の作成は非常に重要です。「親族と絶縁してしまった」「財産を手放す羽目になった」といった後悔をしないためにも、トラブル事例を見ていきましょう。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。
子連れで再婚した40代会社員、後妻にも子どもが誕生
今回の相談者は、大手商社に勤務する40代のY崎さんです。数年前に先妻と離婚し、2人のお子さんを連れて再婚しました。先妻と離婚に至った原因のひとつには現在の妻の存在があり、離婚から再婚に至るまでに、それぞれの親族を巻き込んだかなり激しい諍いありました。
結局、先妻に多額の慰謝料を支払い、Y崎さんが子どもたちを引き取ることを条件に、離婚問題は決着しました。
Y崎さんは、ふたりの子どもたちに大変つらい思いをさせてしまったと申し訳なく思っています。また同時に、子連れでの再婚となることを受け入れてくれた現在の妻には感謝してもしきれないとのことです。
去年は現在の妻との間にも男の子が誕生しました。いまは、Y崎さんが両親から生前贈与されたファミリータイプのマンションで、5人仲よく暮らしています。
「妻は、子どもたちに分け隔てなく接してくれて、本当にありがたい限りです。私は仕事が忙しくて、専業主婦の妻にすべて任せきりになっていますが、しっかり家庭も守ってくれますし、頼りになります」
「子どもたちは転校させることになり、非常にかわいそうなことをしてしまいました。しかし、新しい環境にもなじんでくれて、学校にも元気に通っていますし、わがままもいいません。私や妻に気を使っているのだろうと思うと申し訳なくて…。去年は弟が生まれましたが、とてもかわいがってくれています」
●相続人関係図
遺言作成者:Y崎K介さん・40代会社員
推定相続人:配偶者(後妻)、長女、長男、再婚後の長男
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
京都府立大学女子短期大学卒。PHP研究所勤務後、1987年に不動産コンサルティング会社を創業。土地活用提案、賃貸管理業務を行う中で相続対策事業を開始。2001年に相続対策の専門会社として夢相続を分社。相続実務士の創始者として1万4400件の相続相談に対処。弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士など相続に関わる専門家と提携し、感情面、経済面、収益面に配慮した「オーダーメード相続」を提案、サポートしている。
著書65冊累計58万部、TV・ラジオ出演127回、新聞・雑誌掲載810回、セミナー登壇578回を数える。著書に、『図解でわかる 相続発生後でも間に合う完全節税マニュアル 改訂新版』(幻冬舎メディアコンサルティング)、『図解90分でわかる!相続実務士が解決!財産を減らさない相続対策』(クロスメディア・パブリッシング)、『図解 身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本 2021年版 (別冊ESSE) 』(扶桑社)など多数。
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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