父から受け継いだ財産を「再婚・子あり」の夫に渡したくない

近年では離婚や再婚が増加傾向であり、それに伴って家族関係が複雑になるケースも増えています。いまは円満な関係でも、相続となった段で問題が生じるリスクもあるため「遺言書」の作成は非常に重要です。「親族と絶縁してしまった」「財産を手放す羽目になった」といった後悔をしないためにも、トラブル事例を見ていきましょう。相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が、実際に寄せられた相談内容をもとに解説します。

地元名士の父が遺してくれた、価値の高い不動産

今回のご相談者は、40代の専業主婦、S木さんです。S木さんは中学生のころ、病弱だった母親を亡くしました。しかしその後、父方の祖母が母親代わりとなって面倒を見てくれたため、なにも不自由なく学生生活を送ることができました。S木さんと2歳年下の妹は、大学を卒業後、社会人となって結婚するまで、ずっと実家で家族仲よく暮らしていました。

 

 

S木さんと妹はそれぞれ社内結婚をしましたが、祖母は妹の第一子の誕生を見届けたあと、あっさりと亡くなってしまいました。その後、S木さんの父親はひとり暮らしとなりましたが、実家の近くに住んでいた妹家族は、ふたり目の子どもができたタイミングで父親の敷地の一部に家を建て、手狭になった賃貸マンションから引っ越しました。S木さんにとっても、妹家族が父親のそばに住んでくれることは心強く、大賛成でした。

 

昨年の暮れには高齢だった父親が亡くなり、相続が発生しました。遺産分割は、父親のそばで暮らしてくれた妹が6割、S木さんが4割とし、なにごともなく円満に終了しました。

 

S木さんの父親は地元名士の土地持ちで、所有していたのは、晩年まで暮らしていた実家のほか、妹一家が暮らす実家の隣の広い宅地、そして沿線の駅近くにある複数の駐車場など、価値の高い不動産ばかりです。

 

S木さんの相続した財産は、数千万円の現金と駅前の駐車場、父親が暮らしていた実家です。いまは両親の仏壇が安置されているこの家にちょくちょく訪れては、建物や庭の手入れをしたり、隣に住む妹や甥姪と食事をともにするなど、くつろぎの場として活用しています。もし夫が了解するのであれば、夫の定年退職後、広くて立地のいい実家に住み替えたいと思っています。

 

●相続人関係図

遺言作成者:妻・S木さん 40代 専業主婦
推定相続人:夫、妹

 

株式会社夢相続代表取締役 公認不動産コンサルティングマスター 
相続対策専門士

京都府立大学女子短期大学卒。PHP研究所勤務後、1987年に不動産コンサルティング会社を創業。土地活用提案、賃貸管理業務を行う中で相続対策事業を開始。2001年に相続対策の専門会社として夢相続を分社。相続実務士の創始者として1万4400件の相続相談に対処。弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士など相続に関わる専門家と提携し、感情面、経済面、収益面に配慮した「オーダーメード相続」を提案、サポートしている。著書50冊累計38万部、TV・ラジオ102回、新聞・雑誌420回、セミナー500回を数える。近著に『いちばんわかりやすい 相続・贈与の本'18~'19年版』(成美堂出版)、『増補改訂版 図説 大切な人が亡くなったあとの届け出・手続き』(宝島社)ほか多数。

著者紹介

連載相続実務士発!みんなが悩んでいる「相続問題」の実例

本記事は、株式会社夢相続が運営するサイトに掲載された相談事例を転載・再編集したものです。

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