新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

「三種の神器」から「3C」の時代へ

この当時は、国民一人一人は貧しかったものの、国が新幹線や高速道路、そして東京五輪や大阪万博などの一大イベントを催し、希望に満ち溢れる国民をぐいぐいと牽引していった時代ともいえます。

 

この時期の人々の生活や価値観がよく窺い知れるのが、2005年に上映され大ヒットとなった『 ALWAYS 三丁目の夕日』です。この映画は田舎町から東京の町工場にやってくる女性が成長していく過程を追ったもので、当時の東京を表わしたノスタルジックなスタジオセットが話題を呼びました。同様に2017年に放映されたNHKの連続テレビ小説「ひよっこ」も、茨城県から上京して東京の町工場に就職した主人公が苦労をしながらも成長し、そこで出会った洋食屋の味に惚れ込むというストーリーを描き、注目されました。

 

50年代は三種の神器として、「白黒テレビ」「洗濯機」「冷蔵庫」が、60年代には3Cと呼ばれた「車」「クーラー」「カラーテレビ」など、国民には常にわかりやすい生活向上のための「目標」のようなものがありました。

 

国民の皆が明日へのゆるぎない希望を持ち続けた一方で、どんどん都市部に流入する人の流れは、膨大な新たな住宅需要を生み出していきました。

 

国は1956年7月に、住宅に困窮する勤労者のために住宅や宅地を供給すること を目的とした日本住宅公団(現・UR、都市機構)を設立して対応しますが、当時の住宅の質はけっして水準の高いものとはいえませんでした。とりあえず「住む」ためのハコを量的に確保した、というところです。

 

1971年からスタートする1995年までの四半世紀はどうでしょうか。


この間の日本の人口は約2000万人の増加を見ました。高度成長期という右肩上がりの経済成長を味わった日本にとっては 70 年からの四半世紀は二度のオイルショックとの戦い、円高というグローバル経済の中での舵取りと、苦難が連続する時代でした。

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不動産で知る日本のこれから

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牧野 知弘

祥伝社新書

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業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊

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