新型コロナウイルスの感染拡大によって景気後退が叫ばれ、先行き不透明感が増すなか、日本経済はどうなるか、不動産はどう動くのかに注目が集まっている。本連載は、多くの現場に立ち会ってきた「不動産のプロ」である牧野知弘氏の著書『業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊』(祥伝社新書)より一部を抜粋し、不動産の現状と近未来を明らかにする。

戦後、日本に起こった「人口爆発」

日本は1945年の太平洋戦争の終結後70年以上の時を経ました。70年といえば、ほぼ人の一生に近い年月ですが、この間私たち日本人は戦禍で廃墟になった国土を立て直し、世界的にも未曽有の経済発展を成し遂げ、今、世界で最も豊かな国の一つとして存在しています。

 

私は、戦後の日本社会の変遷を25年という四半世紀ごとに整理してみると、その間の不動産の価値に対する人々の接し方、感じ方の違いが鮮明になってくることに気がつきました。

 

高度成長期の三種の神器は国民に分かりやすい生活向上のための目標だった。
高度成長期の三種の神器は国民に分かりやすい生活向上のための目標だった。

 

どういうことなのか、説明しましょう。

 

1945年から1970年までの四半世紀は、いわば日本の「復興期」でした。戦争終了直後、日本の人口は約7200万人。すべてを失っての再出発でした。

 

実はこの45年から70年までの四半世紀の間で、日本に起こった劇的なことは「人口爆発」でした。なんとこの間に日本の人口は世界が瞠目するほどに急増。大阪万国博覧会が開催される70年には、すでにその数は1億人を超えていたのです。率にして44%の増加。世界の歴史の中でも、これだけ顕著に人口増加を果たした国はありません。

 

人口がこれだけ増加するということは、経済から見ればそれだけ消費者が増える、つまり内需が急拡大したということです。経済はおのずと成長軌道を描きやすい環境下にあったともいえます。

 

しかしこの時期、日本社会全体はまだ貧しい状況でした。日本は輸出型製造業の成長に活路を見出し、原材料を輸入して製品化しこれを外国に輸出することで、60年代には経済において高度成長期を迎えることができました。

 

1958年には東京タワーが完成、そして1964年には最初の東京五輪が開催されます。同じ年に東京と大阪を結んで東海道を疾走することとなる東海道新幹線は、日本全国の子供の憧れの的でした。

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不動産で知る日本のこれから

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牧野 知弘

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業界だけが知っている「家・土地」バブル崩壊

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