20代、30代の「積極的賃貸派」が増加
さらに、これからの賃貸住宅市場を語る上で注目したいのは、外国人の動向だ。日本人の人口は減少するが、在留外国人の数は増加していく。
2018年末の在留外国人数は、約273万人で過去最高を更新した。その数、大阪市の人口とほぼ同じだというから驚く。10年前の2008年と比較すると、約60万人の増加。「技能実習」「技術・人文知識・国際業務」として区分される外国人労働者は5年間で約2倍の55万人、留学生については、2008年に文部科学省が立てた 2020年までに「留学生30万人計画」が予定よりも早く達成され、33万人を超えた。
今後さらに増加を後押しするのは、2019年4月に施行された「改正入管法」だろう。正式には、「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」という。改正では、相当程度の知識・経験を要する業務に就く「特定技能1号」と、熟練した技能が必要な業務に就く「特定技能2号」という2つの在留資格を新設。政府は、「改正入管法」施行の2019年度から5年間で、新在留資格の「特定技能」で想定する14業種において最大約35万人の外国人労働者の受け入れを目指すという。
在留外国人の増加は、当然賃貸住宅の需要の増大を意味する。今後、外国人労働者の増加が見込めるエリアがどこか、確認することが重要だろう。
最後に、家主業が有望という理由として挙げたいのは、「積極的賃貸派」がじわじわと増えていることだ。かつては賃貸といえば、大半の人にとってマイホームを持つ前に住む仮住まい的な存在
だった。そのため、積極的に「賃貸に住みたい」と考える人は少数派だった。ところが、近年はその住宅志向についても変化が表れている。
国土交通省では毎年「土地問題に関する国民の意識調査」を実施している2017年度の「住宅の所有に関する意識」では、「土地・建物を両方とも所有したい」いわゆる「持ち家派」が75・7% で前年よりも 3.6ポイント減、一方「借家で構わない」という「賃貸派」は 16.3% で前年よりも3ポイント増となった。賃貸派の数字は同調査を開始した1993年度以来、過去最高となった。
特に注目したいのは、若年層の賃貸派の増加だ。20代は34.4%、30代は19.7%。この数字を5年前の調査と比べると、志向の変化がより明確になる。2012年度の調査では、賃貸派の20代が 29.05%、30代が14.5%だった。つまり、この 5年で20代、30代の賃貸志向が高まっていることがわかるだろう。
永井ゆかり
「家主と地主」編集長
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