本記事では、収益物件の売買や仲介事業を展開する株式会社BRAVEの代表取締役・山部和孝氏が、同業だからこそ見えてくる不動産投資の実態について、投資家から寄せられた意見を取り上げながら解説していく。 ※本連載は、『投資会社トップが激白!業者が「投資家を騙す」30のワード 不動産業者のハナシは信用するな』(クロスメディア・パブリッシング)より一部を抜粋・編集したものです。

税理士の言葉を信じてはいけない、これだけの理由

【Case:不動産投資は個人が有利?】

 

不動産投資をはじめようと考えており、将来的には法人化を考えている。だが、知人の税理士には「個人で節税する方法もあるし、手間もかかるから、個人でやっていけばいい」と言われた。この税理士の言葉は正しいのか?

 

 

個人/法人を比較する点で、まことしやかにささやかれるのは、「法人になると払う税金も手間も増える」「個人だとローンが借りやすい」という個人有利説だ。ここでは個人有利説を完全に間違いと断言する。不動産を個人で所有して何かメリットがあるのか明確に説明できる人がいるのか教えてほしい。区分マンションを一つだけ購入して満足するような方を除いては、法人化は当然であってそれ以下は存在しない。

 

念のため個人事業主でメリットと言われる部分について触れておくと、給与所得者は不動産所得を損益通算できる点で、初年度は所得税、住民税の還元を受けることができる。また、法人税もかからないし、個人事業主の青色申告レベルであれば税理士への依頼も不要だ。

 

比較的小さな金額で不動産投資の第一歩を踏み出した初年度、とりあえず物件を1つ持っているだけという方は、個人事業主のままでいいかもしれない(ただし、収入が合算され増えるので所得税は増える。この所得税率が30%未満の時は個人が有利だが、そもそもたいした家賃収入じゃないから恩恵はないと思われる)。

 

しかし、これを除けば法人が圧倒的に有利だ。まずは税金。個人は給与や不動産を合わせた所得が900万円を超えると、所得税は33%、住民税は10%で固定だ。合計して43%。一方で法人税は、同等のレベルで23.4%。これに法人事業税、法人住民税を加えても法人の方が税率は低いのだ(住居だけ保有している前提。要するに非課税売上)。

 

ほかにも法人のメリットはある。例えば自身が会社を定年退職していたとして、家族や親類などを役員に加えれば、給与として払った分は法人としての所得を減らすことができる。相続についても、そもそも法人としての所有だから、相続税はかからない(厳密には個人で保有している法人の株式に相続税がかかる。まぁ株の評価減の方が対策は簡単である)。また、不動産投資の点でも社会的信用を得やすく融資を受けやすい、使える経費も個人より大きくなる。

 

ここまで簡単に説明しても、個人がいいと思うだろうか?

 

正直、不動産を個人で買えとかアホなことを言う税理士とは関わらないことをお勧めする。不動産にまつわる税金、相続の事を何にも理解していない。まぁ個人でメリットと言えば長期で保有した時の税金が20%で済むって事くらい。でも、これには落とし穴があって、人が棺桶に入れば相続税が発生する。かなり高負担である。

 

現金は節税や評価減はない。長い目で見て法人以外にメリットはまったくない。不動産で儲かったお金を使い切るなら個人もありですが使わないでしょ? いつ棺桶に入るか不明なので(笑)

 

結論、不動産は法人の方が圧倒的に有利なのだ。

 

 

【過去の連載】
年収300万円の会社員「不動産投資で儲ける」…20年後の末路

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株式会社BRAVE 代表取締役

山部 和孝

 

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