本記事では、収益物件の売買や仲介事業を展開する株式会社BRAVEの代表取締役・山部和孝氏が、同業だからこそ見えてくる不動産投資の実態について、投資家から寄せられた意見を取り上げながら解説していく。 ※本連載は、『投資会社トップが激白!業者が「投資家を騙す」30のワード 不動産業者のハナシは信用するな』(クロスメディア・パブリッシング)より一部を抜粋・編集したものです。

「NO1利回りが悪い」と断言できる愚かな不動産投資

【Case:毎年少しずつ物件を買い足せば儲かる?】

 

仲良くなった税理士から「毎年少しずつ物件を買い足せば、定年後の生活も安定するくらい儲かるし、節税にもなる」という話を聞いた。マンションを1棟買えるほどの貯蓄も与信もないので、区分マンションの買い増しにしようと考えている。空室リスクも、複数所有していけば何とかなるような気もしているが、どうか。

 

 

 

これも初心者が陥りがちな話だが、

 

・区分マンションを10物件買う

・10戸あるマンションを1棟買う

 

という両者は、イコールではない。なぜか。それは、銀行は土地に価値を見出しているからだ。区分マンションの土地は敷地権がほとんどだ。そうなると部屋の価値で評価していくことになるが、部屋は年が経てば経つほど価値は下がる。つまり評価額が下がるのだ。

 

加えて区分マンションだと、管理費や修繕費を組合に月々払わなければならない。そうした状況で、長い目で見て資産形成に適しているやり方とはまったく思えない。一言でまとめると、NO1利回りが悪い。それなら、配当金がもらえる別の投資商品を調べるべきだろう。

 

さて、税理士の立場で考えてみると、顧客を「節税ができた」と実感させることが第一なので、この提案自体は(顧客の儲けどうこうを度外視すれば)正しいと言える。確かに収益物件を購入し、維持・管理すれば所得を損益通算できるので、所得税、また所得税に連動する住民税は節税できる。購入した年はもとより、以降も経費を計上していけば会計法上でマイナスにすることが可能だ。

 

だが、キャッシュフローは相当厳しい。例えば3LDKのマンションを所有し、家賃収入を得るとしよう。月々に発生する管理費・修繕積立費はおそらく2万円くらい。これが10件あれば1カ月で20万円。1年で240万円になる。それが1棟10戸であれば、年間240万円の管理費はかからない。さらにいうと、自己所有だから管理費も修繕積立金も金額はやり方次第で節約できる。

 

こうした中で、家賃が12万円で銀行融資の返済額が月々8万円なら、区分マンションの儲けはわずか。それでも一定の家賃収入があるからキャッシュは回るのだが、借主の変更による修繕(退去時の原状回復だけでも15万〜20万円くらい)、10~12年ごとの大規修繕の時期が到来すれば、すぐにキャッシュが行き詰まる。

 

成功していると思っていた
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不動産業者のハナシは信用するな

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山部 和孝

クロスメディア・パブリッシング(インプレス)

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