本記事では、収益物件の売買や仲介事業を展開する株式会社BRAVEの代表取締役・山部和孝氏が、同業だからこそ見えてくる不動産投資の実態について、投資家から寄せられた意見を取り上げながら解説していく。 ※本連載は、『投資会社トップが激白!業者が「投資家を騙す」30のワード 不動産業者のハナシは信用するな』(クロスメディア・パブリッシング)より一部を抜粋・編集したものです。

上場企業の謳い文句「年収300万円から不動産投資」

【Case】スルガ銀行の不正問題が表面化する前まで上場企業Sの「年収300万円から不動産投資」という広告をよく目にした。最近は年収を500万円に額面をアップさせているが、そもそもその程度の年収だけで投資家のスタートラインに立てるようなものなのか。

 

 

「年収なんか、関係ない。本人のやる気次第だ!」という根性論を口にするのは簡単だが、さすがに年収300万円でそれを言うのは無責任すぎる。

 

年収300万円となれば、収入から生活費を引いたら、いくらも残らない。それで銀行から融資を受けられたとして物件を買うと、もし家賃収入が減った場合「追い金」が見込めないので自己破産は免れないだろう。まぁまず銀行が融資を通すこともないと思うのが普通なのだが、スルガ銀行&スマートデイズのようなところに巻き込まれないためにも、それは常識外と覚えておきたい。

 

 

投資をやろうという時に、多くの方がまず頭に思い描くのは年収だ。日本はほとんどの労働者が会社員だから、給与所得になる。これは個人それぞれに計算式が変わることもなく、一律した基準としてわかりやすい表現だから、業者も使う。

 

だが、実際はそれだけではない。例えば、親から多額の資産を相続している方なら、年収がゼロだって投資はできる。また、家族など自分以外の誰かが収入を得ているならば、これも投資ができなくはない。むしろ大事なのは、今、現金をどれだけ持っているかというところ、そして融資を受けてから完済するまでの期間内のキャッシュフローが大丈夫かどうかを見て審査する。

 

融資ということをシンプルに考えると、銀行は返済できない場合に備えて担保を確実に押さえるのだから、逆にいえば購入する物件の担保評価がそれなりにあれば融資は通る。そうなると、担保評価が出る物件との出会い、さらにいえばそうした物件を紹介してくれる業者との出会いがスタートラインだ。

 

だいたい、不動産業者でも、1000件当たって1つ、2つほどいい物件があればラッキーくらいの確率。投資家もそれくらいの活動量があって、やっといい出会いがあるということを理解しておきたい。

 

年収300万円で資産がない、でも投資をしようと考えている方がいるならば、まずは現金を貯め、投資ができるレベル、せめて年収700万円くらいまで収入増加を目指すことだ。そして、中古区分でいいから無借金で物件を購入して、家賃収入で少しずつ増やしていく。そして手元の現金を増やし、与信を上げ、好機を迎えたら1棟買いをするという将来へのシナリオを、自分なりに描いておくことだろう。

 

「絶対に儲かる」と業者は言ってくる。
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不動産業者のハナシは信用するな

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山部 和孝

クロスメディア・パブリッシング(インプレス)

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