次男に続いて三男まで…長男の下した「最悪の決断」
「次男さんは納得してくれませんでしたか」「ええ。あれから3人で集まり、相続財産の総額なども伝えて、1000万円は無理だと言ったのですが、どうにかしてくれの一点張りなんです。しかも、それだけではないんです」「というと?」
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「当初、相続しないと言っていた三男まで、次男がもらうなら自分ももらいたいと言い出したのです」「三男がですか? 三男は確か、母親の生活を第一に考えるということで相続を放棄するつもりだったんですよね」「はい。書面などに残したわけではありませんが、当初の話し合いの中でそう言っていました」
書面がなければ相続放棄の意思は確定しない。そもそもこのケースでは、次男が配分に納得していないため協議が成立していない。つまり、三男が自分の相続権を主張することに何も問題はない。次男がもしかしたら1000万円もらえそうになっているのを目の当たりにして「自分ももらいたい」という気持ちが芽生えたのだろうと思った。
「どうして急に意見が変わったのでしょうか」「実は、その背景にも夫婦間の話し合いがあったようです。三男によれば、三男の奥さんが『もらえるものはもらったほうがいい』と言ったようなのです」
「まさか三男も1000万円と言っているのですか?」「いえ、それは次男だけです。三男は法律で決められた分だけと言っています」「そうですか。それにしても、実際に分配するとすれば預金だけでは足りませんね。しかも、預金はお母様が生活していく上で必要ですから、簡単に手放すわけにもいかないでしょう」
「ええ。それで私も悩んだのですが、ワンルームマンションを売ろうと思うのです。小さい中古の物件ですが、売ればいくらか現金になるだろうと思って」「お母様はどうするのですか? 今もマンションで暮らしているんでしょう?」「私が引き取り、千葉で一緒に暮らそうと思っています」ダンディーさんはそう答えた。
千葉の家には長い階段があるという。70歳を超えた母親が、その階段を行き来することになる。私はその様子を想像し、なんともいたたまれない気持ちになった。