相続はお金持ちだけに関係がある話。そう思っている人は多いようだ。しかし実際は違う。亡くなった人に多少でも預金があったり、家や土地があったりすれば、財産の多寡にかかわらず、相続は発生する。このエピソードの相談者は、3兄弟の長男である。父親が他界し、当初は母親が預金と家を相続するはずだった。しかし、次男が遺産の半分以上を欲しいと願い出る。結果、長男は精神的にも経済的にも大きな負担を抱え込み、兄弟がバラバラになってしまった。※本記事では、税理士の髙野眞弓氏が、自身の経験もとにした「争族エピソード」を紹介する。

「自分には関係ない」と思っている庶民こそ危ない

相続でもめるのはお金持ちだけだと思っている人もいるが、それは違う。むしろ、私が実際に担当したり、スーさんのような友人たちから見聞きした例を踏まえると、相続税がかからない相続や、かかるかどうか微妙な額の相続で、トラブルになることが多い。その理由は、相続についての話し合いをしていないからだ。

 

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ある程度のお金がある家は、相続の配分でもめるかもしれないという警戒心を持っている。だから、あらかじめ話し合いをする。そこである程度でも家族の合意がまとまるから、いざ相続となってももめないのだ。

 

一方、ダンディーさん一家のように相続遺産が少ない場合、まさかもめるとは思わず、話し合いをしない。「分けるほどの額でもない」「うちは庶民だから相続は関係ない」などと思ってしまう。実はそこに問題がある。

 

亡くなる人にとっては少額のお金でも、相続人から見れば喉から手が出るほど欲しいお金かもしれない。いくらかでもお金があると知れば「もらえるならもらいたい」と思うだろうし、兄弟の誰かがもらえば「自分ももらいたい」と思う。それが人間というものだ。

 

次男は今頃何をしているのだろうか。きっと外車を乗り回して毎日を満喫しているのだろう。三男もきっと、棚からぼたもちで得たお金でちょっとした贅沢を楽しんでいる。人の価値観はそれぞれだ。どんな風にお金を使おうとその人、その夫婦の勝手である。

 

しかし、そういった満足感のために、彼らは家族の絆を犠牲にした。もはや兄の信頼を取り戻すことはできない。母親の愛情を取り戻せない。もしこの先、次男や三男がお金やそれ以外の面で困ったとしても、無条件で手を差し伸べてくれる家族はいない。いなくなったのではなく、彼らが自主的に捨てたのだ。

 

そのことを、いずれ彼らは悔やむのではないか。ゴネることで相続できたお金は大金かもしれないが、そのために捨てた代償はとてつもなく大きかったと私は思う。

炎上する相続

炎上する相続

髙野 眞弓

幻冬舎メディアコンサルティング

裁判沙汰になったトラブルの3割が遺産総額1000万円以下⁉︎ 「ウチは大丈夫」と思ったら大間違い! 6つの炎上エピソードから学ぶ「円満相続」の秘訣 相続でもめたあげく、兄弟姉妹が憎しみ合い、絶縁状態になってしまうこ…

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