物件の周辺環境の変化、急な修繕、家賃滞納など数々のリスクが潜む不動産投資。資産形成の手段として注目が集まっているものの、事前にリアルな失敗パターンを知ることは必要不可欠です。そこで本記事では、多くの個人投資家にコンサルティングを行い、不動産投資の方法を提案する、株式会社カクセイの平山智浩氏・渡辺章好氏の共著『失敗例から学ぶ 儲かる不動産投資の極意』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、不動産投資の失敗例を紹介します。

業者の意見は様々!同じ地域でも複数回のヒアリングを

◆購入時のヒアリング方法

 

自分で物件調査どころかヒアリングも行わずに、二言目には「業者さんが『この賃料で必ず入る』と言っている!」などと、業者の言うことを鵜呑みにしてしまう投資家は多くいます。

 

それはどういう判断基準なのか、なんの根拠があって「入る」と断言できるのか。市場調査をした結果であれば理解はできますが、売買仲介の営業マンが言っているだけの話を鵜呑みにして買ってしまうのはどうかと思います。

 

表向きの賃料でなく、必ず地元の不動産業者にヒアリングして、適正な賃料で計算し直しましょう。同じ利回りを取るのであれば、戸当たりの賃料が高いほど良いと考えます。

 

ヒアリングに関しては、さまざまな投資の本にも書いてありますが、遠隔で購入する場合は電話で行うケースが多いでしょう。インターネットで「物件のある地名+賃貸」で検索すれば、客付け会社が出てくるか、もしくはアットホームなどの取扱業者が出てくるので、その上位3〜5社に電話をしてヒアリングします。

 

自社で相場を調べる場合であれば、不動産業者同士、相手の手の内がわかりますから、聞き出すのはお手のものです。例えばA社に電話をして「神奈川県の相鉄線の某駅でアパート1棟10室を募集する予定なのですが、1Kで15平米だと、家賃はどれくらいするものですか? 5万円くらいはつくかなと考えていますが……」と聞くとしましょう。

 

するとA社からは「いやいや、今のご時世なら4万円しかつかないよ」という返事。しかし、その後でB社に聞くと、「5万円くらいならいけるのではないですか」と答えました。

 

このように、地域の不動産業者にもさまざまな見解があります。保守的なことばかり言う人がいれば、とてもポジティブな人もいます。どちらが良い悪いではなく、どちらもある意味で事実なのです。何人かに聞いて総合的に判断するのが一番です。

 

そして、A社とB社の回答から、4万円から5万円まで幅があることを受け止めて、自分はどこまでリスクを負うか、平均値でいいのか、あるいは「リスクは負いたくないから、低めの家賃で見ておこう」といった判断もあるでしょう。そこは己を知って判断する必要があります。

 

また、募集する際の条件や入居者の属性も併せて聞いておきましょう。礼金敷金はとれるのか、主にどんな職業、年齢の人が見込まれるのかなども必要な情報です。

 

ヒアリングについては、「電話で聞く」「直接行く」の2種類がありますが、物件によっては、「レインズ※」などで表に出ることのないものもあります。地主が「周りに気づかれないようにひっそり売りたい」と希望した場合など、「あの物件を買うんです!」と、うっかり地元の人に言いふらしてほしくないケースもあるのです。

 

※レインズ・・・国土交通大臣が指定する不動産業者間のデータベースで、日本全国の売買情報、賃貸情報が掲載されている。全国どの業者であっても閲覧可能で、どの業者でも取り扱うことができる。

 

そのようなケースでも、例えば、「これは表に出ていない売買情報で、購入はまだ確定でないので、具体的な住所は言えないのですが、〇〇町にある鉄骨で、築20年の1K物件の賃料相場を教えてください」とオブラートに包んだまま告げるのです。

 

このようにしっかりと聞き出すと、相手もボカシながらも教えてくれます。地方で棟数が少なければ、言わなくても物件の見当がつくものです。そのため精度の高い調査ができるでしょう。

 

これが東京になると件数が増えて探すのにも一苦労です。業者のヒアリングも「あくまで相場を教えてもらう」ということにとどまるケースがほとんどです。中には、直接ヒアリングを行う投資家で、「ライバル物件の内見をする」という人もいるそうです。「子供を一人暮らしさせたい」「転勤の予定がある」などといった理由をつけて内見を行います。

 

ライバル物件そのものを調査して、家賃や募集条件だけでなく、どんな印象の部屋なのか、どの程度の内装なのか、設備は何があるのかまで調査できれば、それに勝るものはありません。

 

そこまで市場調査ができているわけですから、そのような人であれば失敗する確率は少ないでしょう。このようにやり方はさまざまですが、何かしらの形で物件調査・ヒアリングを行いましょう。

 

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平山 智浩・渡辺 章好

幻冬舎メディアコンサルティング

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