本連載では、公認不動産コンサルティングマスター・相続対策専門士の曽根惠子氏、税理士法人アレース代表社員の保手浜洋介氏の共著書、『結果に差がつく相続力 相続税を減らすコンサルタント活用術』(総合法令出版)から一部を抜粋し、ケース別の実例をもとに、身内で揉めず相続税をできる限り少なくするための具体的な相続対策を紹介します。

不動産・預金を分散保有しているが相続税も多額…

[図表1]
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[図表2]
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【相談内容】土地を残しながら対策したい

鈴木さんは長男として父親から財産を相続し、代々の土地や家系を守ってこられました。先代から相続した土地は減らさずに守るのが家を継ぐ者の役目と思いながらも、道路の収用などで協力する必要も出てきました。一部は代替地で他市に土地を所有していますが、大部分は希望の代替地が見つからなかったため、預金として所有している現状です。

 

早くから土地を活かして企業の社宅として貸したり、店舗に貸したりしていますが、借入の返済も済ませてしまいました。70代半ばになった時、まだ相続は先と思っていたものの、体調を崩して検査入院することがありました。体調が回復して退院した時に、いよいよ本格的な相続対策をしておきたいと相談に来られました。

 

●相続プラン1 現状分析と課題の確認

【感情面】家族の合意はできており、もめる要素はない

長男が同居、家を継承するが、3人の息子それぞれに分ける予定

【経済面】不動産・預金ともに多く、相続税も多額

財産は分散保有されているが、相続税が多額

【収益力】賃料収入があり、収益力は高い

総資産収益力2.19% 賃料収入3,359万円/資産総額15億3,000万円

【対応力】分割の方法はある

分割案は想定できるが、多いため煩わしさあり

 

[図表3]相続力
[図表3]相続力

 

〇コンサルタントより

鈴木さんの財産の大部分は土地です。自宅をはじめ、その周辺に大きな土地が何ヶ所もあります。評価の高い土地は賃貸事業に活用されており、安定した賃料が入っています。相続では、大きな土地は2割程度評価を下げられる可能性があります。それでも何もしないよりは積極的な対策をお勧めしたいところです。しかし、新たに賃貸物件を増やすには不安があるエリアだと判断し、土地活用の提案はしないことにしました。対策の中心は、多すぎる現金の活用となることは明白でした。

預金と有価証券を活用して都市圏の収益不動産を購入

●相続プラン2 不動産評価と特例の適用効果の検証

特例1 地積規模の大きな宅地の評価4ヶ所 ▲8,891万円

特例2 小規模宅地等の特例 ▲488万円

自宅を含め駐車場などの土地が大きく、地積規模の大きな宅地に該当。

 

●相続プラン3 対策と節税効果の検証

◇対策【購入】収益不動産の購入 ▲約4億円

2億円の収益物件を三棟購入し、収益向上と評価減を図りました。

 

〇対策の内容

預金と有価証券を活用して、都市圏の収益不動産を購入しました。将来は3人の息子に分けられるように、ほぼ同等のビル三棟を購入することで将来の不安もなく、分割できるようにしました。

 

●対策後財産評価額 約10億3,700万円

●相続税約3億4,935万円

◇特例地積規模の大きな宅地の評価+小規模宅地等の特例 ▲9,379万円

◇各対策と相続税評価減

収益不動産の購入 ▲4億円

評価減合計▲4億9,379万円

◇相続税の計算

財産の内訳 

土地 4億800万円

家屋 2億8,000万円

現金 1億9,000万円

その他 400万円

名義預金 1億5,500万円

基礎控除(相続人4人) 5,400万円

課税財産 9億8,300万円

相続税 3億4,935万円

※相続税の計算の仕方

妻 4億9,150万円×50%-4,200万円=2億375万円

子 1億6,383万円×40%-1,700万円=4,853万円×3人=1億4,560万円

計 2億375万円+1億4,560万円=3億4,935万円

 

◆対策後の相続力判定◆

【感情面】家族で対策に取り組み協力的

【経済面】相続税40.28%減 2億3,565万円の節税

【収益力】総資産収益力6.70% 賃料収入6,950万円/資産総額10億3,700万円

【対応力】納税は現金でできる見込みとなり、不安はなくなった

 

〇コンサルタントより

鈴木さんは代々の土地を守っていきたいという意向が強いため、それを尊重すると自ずと現金、有価証券を活用して賃貸不動産に替える「不動産の購入」が対策のメインとなりました。自宅周辺に同じような不動産をいくつも持つことがリスクになります。離れた立地で購入していくと、現在の所有を維持したままで、全体の収益を上げることができます。将来は3人の子供に分けることを想定して、購入は三棟としました。

 

[図表4]対策のイメージ
[図表4]

 

曽根惠子
公認不動産コンサルティングマスター 相続対策専門士 

 

保手浜洋介
税理士法人アレース 代表社員

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