本連載では、飽和状態のハミガキ粉市場で、「超高価格の子ども用ハミガキ粉」を大ヒットに導いた筆者が、自らの経験を基に、「レッドオーシャン」で勝つためのビジネス戦略について解説します。
「ハミガキ粉に命を救われた」というお客様の声も
笑顔が彷彿するお客様のハガキをたくさんいただきますが、中には、より切実な感謝の手紙を寄せてくださる方もいらっしゃいます。
私の印象に強く残ったもののひとつに、乳酸菌ハミガキ粉のおかげでお子さんの命が救われたと感謝してくださっているお客様の声がありました。
その手紙の書き手は、心臓病で入院しているお子さんを持つお母さんです。
彼女は、病気と向き合う中で、いろいろと制約があるお子さんのために、乳酸菌ハミガキ粉を購入していました。そして、このハミガキ粉に出会えてよかったと書いてくださっていました。
「心臓病にはむし歯が天敵。むし歯の菌が血管を通って心臓まで行ってしまうと、心内膜炎などを起こすので、まずむし歯を治療しないといけません。そんな子どもにとって、この歯みがき粉と出会ってむし歯にならなくなったのは、命を助けてもらったようなものです」
こうした直筆の手紙やハガキには、お客様の生の声、真実の声が表れています。そこから読み取れる感動と感謝の声は、ただ単なる「お礼」といった生半可なものではなく、まさにお客様とメーカーとの「心のふれあい」であると感じます。
歯科医師
ウィステリア製薬株式会社代表
社会起業家
コンサルタント
カウンセラー
1954年生まれ。明海大学歯学部卒業、1982年静岡県富士市にて歯科医院を開業し、以来36年間増収を続けている。当クリニックは、地方都市のシャッター通りの一角にあるにもかかわらず、業界水準を大幅に上回る自費率70%以上を維持し、予約の取りにくい歯科医院として多くの人に支持されている。50歳の時に、医院をビルの2階から新しいコンセプトの大型歯科医院に新築移転する。クリニック経営が順調に進む中、59歳の時、生死をさまよう大病を患ったにもかかわらず、退院後60歳にして新たな分野(大企業がひしめくオーラルケア業界)で起業し、新市場を開拓。わずか3年で驚異の売り上げを記録し、様々な分野で、独自のポジションを築いている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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連載「成熟市場」で生き残る常識破りのマーケティング戦略