骨に沈着?厚労省も警鐘「6歳未満」へのフッ化物配合歯みがき

本連載では、飽和状態のハミガキ粉市場で、「超高価格の子ども用ハミガキ粉」を大ヒットに導いた筆者が、自らの経験を基に、「レッドオーシャン」で勝つためのビジネス戦略について解説します。

歯ブラシの本質は「歯をみがく」だけではない

ところで皆さんは、歯ブラシを何のための道具だと思いますか?

 

歯ブラシの直接の目的は、歯をみがくことです。歯ブラシで歯をみがかせ、子どもをむし歯から守るというのは、もちろん常識です。

 

しかし、歯みがきの本質を突き詰めると、歯ブラシを「親子のスキンシップに役立つ道具」とか、「子どもの自立を促す教育の道具」ととらえることもできるはずです。

 

お母さんが小さなお子さんを抱いて、仕上げみがきをしてあげるとき、多くの子どもは愛情を感じるはずです。そして、自分で歯をみがくことができるようになれば、子どもたちはそれだけ自信を身につけ、成長していきます。

 

ところが、私が歯科医師として耳にしてきた現状でも、アンケートの結果でも、歯みがきタイムは「いやいや行う」「大変な作業」になってしまっていたのです。

 

そこで私は、歯みがきの現状を変えたいと思いました。すなわち、

 

・歯みがきをいやがる子どもたちをなくす

・母親からストレスをなくし、重圧から楽にする

・仕上げみがきを通じて、大事な親子のスキンシップの時間を楽しいものにする

・子どもたちが自ら進んで歯をみがき、歯みがきの習慣を身につけられるようにする

・子どもが自立し、親に褒めてもらえるようになる

 

ということです。

 

「歯みがきを通じて、子どもの自立心が芽生える」

 

こうした発想をする人は、あまりいないと思いますが、私の経験上、歯みがきや歯科治療を通じて子どもの自立を促すことは十分に可能です。

子どもたちが歯みがきをいやがる理由は何か?

私は歯科医師ですから、家庭での子どもの歯みがきが大変なことを、身に染みて知っています。歯みがきをいやがる子どもたちに、何とか歯みがきをさせようと悪戦苦闘するお母さんたちの苦労は、並大抵ではないはずです。

 

子どもの歯みがきタイムは、幸せな親子のスキンシップタイムであってほしいのですが、現実はなかなかそうはいきません。子どもにとっては、歯みがきは苦痛以外の何物でもありません。

 

かたやお母さんたちは、子どもをむし歯にしないために、いやがるわが子を押さえつけてでも歯みがきをしてあげています。それはまさに家庭内の小さな格闘の様相を呈しています。

 

では、子どもたちが歯みがきをいやがる理由は何でしょう?

 

めんどうくさいからでしょうか?

 

実際はそうではなく、ハミガキ粉や歯ブラシ自体に問題があると私は考えました。そして、その仮説が正しかったことは、乳酸菌ハミガキ粉への反響が示してくれているとおりです。

 

(また子供用歯ブラシに関しても、痛くない歯ブラシを提供し喜ばれています。後述)

 

殺菌剤や発泡剤の入ったハミガキ粉の強い薬のような刺激は、大人には平気(あるいは爽快)でも、子どもにとってはイヤなのです。

 

歯みがき嫌いな子どもたちとお母さんたちとの熾烈な戦いは、実は子どものいやがるハミガキ粉を押し付けていた大人のせいだったと言っても過言ではありません。

 

すでにおわかりのように、私たちが開発した子ども用ハミガキ粉は、「お母さんのためのハミガキ粉」でもあります。

 

現在は、共働きの夫婦が多い時代です。ですから、多くのお母さんたちは、仕事をする一方で、家事や子育てもこなさなければなりません。そのように多忙なお母さんたちにとって一番の悩みは、「時間がない」ということです。

 

イクメンのパパたちが家事を分担してくれたとしても、ママたちには毎日やることがたくさんあります。子育て中のほとんどの親には、自分の時間を持つ余裕もあまりありません。

 

そんな中で、いやがる子どもに歯みがきをしてあげる時間も、余裕のないお母さんたちにとって大きな悩みの種の1つに違いありません。

 

子どもの歯みがきで毎日ぐずられ、それらのストレスは大変なものだと思います。また、子どもがもし虫歯になってしまったら、母親は自己嫌悪に陥ったり、周りからもその責任を問われたりするから必死なのです。

 

ところが、私たちが開発した子ども用ハミガキ粉を使えば、子どもたちが喜んで歯みがきをしてくれます。それどころか、大嫌いだった歯みがきが好きになるのです。

 

ですから、忙しいお母さんたちも、ハミガキ粉しだいで楽ができるようになるのです。前述したように、それを知らせてくれるのがお客様からのハガキです。あれほど逃げ回っていた子どもたちが、自ら歯みがきしてくれるようになったというお母さんたちの喜びと安堵の声が、私たちのもとにたくさん届いています。

子ども用ハミガキ粉は「食べ物」に準じた扱いをすべき

従来、私たちが子どもに与えてきたのは、子ども用ではなく、大人用のハミガキ粉でした。そう言えるのは、上手にうがいのできない子どもにまで、食べられない材料でできたハミガキ粉を使わせてきたからです。

 

子どもに大人と同じようなハミガキ粉を使わせてきたのは、単なる大人の事情を超えて、無神経なことだったように私は思います。歯科医師として、自らを戒める意味でもそう言うのです。

 

ハミガキ粉は従来、体の中に入るものとしては扱われてきませんでした。

 

一般のハミガキ粉には殺菌剤、発泡剤や界面活性剤、保存剤などが含まれ、ほとんどが化学物質でできています。当然、食べられるものではありません。

 

しかし、子どもたちが口の中に入れて使うものが、食べられないもので作られていて、果たして大丈夫なのでしょうか?

 

特に、うがいのうまくできない乳幼児などについては、ハミガキ粉が口の中に残ることを想定しておかなければなりませんし、ハミガキ粉を使うお口の中は、吸収の早い口腔粘膜で覆われていることも忘れてはいけないでしょう。

 

本来なら、歯みがきをするたびに、ハミガキ粉の成分が子どもたちの体の中に入っていっていると考えるべきでしょう。必ずしも「ごくん」とハミガキ粉を飲んでしまわなくても、その成分は口の中の粘膜から吸収されているからです。

 

そうした危険を考えれば、子ども用のハミガキ粉は「飲み込んでも大丈夫なもの」で作られる必要がある、と私は思ったのです。

 

極論を言えば、大人用のハミガキ粉と違い、子ども用ハミガキ粉は「食べ物」に準じた扱いをすべきだと思います。

多くのハミガキ粉に配合されてる「フッ素」だが…

さらに、従来のハミガキ粉には「フッ素」という物質が入っています。

 

皆さんも、「フッ素」という成分名は聞いたことがあると思います。フッ素には歯の表面を保護する作用があり、多くのハミガキ粉に配合されています。

 

現在、日本の歯科業界では、むし歯予防のために高濃度のフッ素入りハミガキ粉を推奨する傾向があります。ただし、フッ素入りハミガキ粉の正しい使い方を理解している人は、とても少ないのではないかと思います。

 

フッ素入りハミガキ粉を使うにしても、多くの人は適量が守れていません。子ども(小児)に対して、フッ素入りハミガキ粉を歯ブラシにつける際の適量は、ほんの爪の先ほどです。ブラシ全体にたっぷりつけるようでは使い過ぎになってしまいます。

 

しかも、子どもにとってフッ素は、かなり危険な成分でもあります。

 

歯みがきをした際に体内に入ったフッ素は、大人なら尿中にある程度排出されますが、子どもの場合は骨にも沈着してしまうのです。

 

確かにフッ素のむし歯予防効果は20〜30%くらいあり、むし歯の多い子どもや、むし歯のできやすい子には一定の効果があります。

 

しかし私は、むし歯のない子にはフッ素を使ってほしくはないと思っています。

 

さらに、フッ素は家庭用のハミガキ粉だけでなく、歯科医院、学校、市町村などでもむし歯予防のために使われています。それだと子どもたちは、二重、三重にフッ素に接することになりかねません。この現状はあまりにも、むし歯予防をフッ素に頼り過ぎではないかと思っています。

 

WHOや厚生労働省などが「6歳未満の子ども」へのフッ素の使用を制限している中で、小さい子にもフッ素配合のハミガキ剤が普及しているというのは、かなり異常なこととは言えないでしょうか。

 

 

齊藤 欽也

歯科医師/ウィステリア製薬株式会社代表

歯科医師
ウィステリア製薬株式会社代表
社会起業家
コンサルタント
カウンセラー

1954年生まれ。明海大学歯学部卒業、1982年静岡県富士市にて歯科医院を開業し、以来36年間増収を続けている。当クリニックは、地方都市のシャッター通りの一角にあるにもかかわらず、業界水準を大幅に上回る自費率70%以上を維持し、予約の取りにくい歯科医院として多くの人に支持されている。50歳の時に、医院をビルの2階から新しいコンセプトの大型歯科医院に新築移転する。クリニック経営が順調に進む中、59歳の時、生死をさまよう大病を患ったにもかかわらず、退院後60歳にして新たな分野(大企業がひしめくオーラルケア業界)で起業し、新市場を開拓。わずか3年で驚異の売り上げを記録し、様々な分野で、独自のポジションを築いている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

著者紹介

連載「成熟市場」で生き残る常識破りのマーケティング戦略

レッドオーシャン革命 常識破りのマーケティング戦略

レッドオーシャン革命 常識破りのマーケティング戦略

齊藤 欽也

幻冬舎

定価7800円の子ども用ハミガキ粉がなぜ売れているのか? 創業わずか3年。競争の激しいオーラルケア市場で急成長を遂げたベンチャー企業の軌跡から読み解く「ビジネスの新常識」 現代社会は、品質が優れ価格も手ごろな商品…

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