レッドオーシャンで勝つ!「お客様をしぼる」ことの重要性とは

本連載では、飽和状態のハミガキ粉市場で、「超高価格の子ども用ハミガキ粉」を大ヒットに導いた筆者が、自らの経験を基に、「レッドオーシャン」で勝つためのビジネス戦略について解説します。

お客様の「深いニーズ」に応えていくために必要なこと

お客様に「本物」を提供するためのビジネスモデルとして、私が考える「幸せマーケティング」を説明してきました。

 

そこで大切なことのひとつは、「お客様をしぼる」ということです。そう言うと、お客様を選別するように聞こえて誤解を招くかもしれませんが、特定のお客様を排除することが目的ではありません。

 

あらかじめ「お客様をしぼる」ことは、小さな会社が、限られた資源を有効に活用し、自分たちのお客様の深いニーズに応えていくために必要なことなのです。

 

私たちの場合でいえば、「そもそも子ども用ハミガキ粉のお客様はどんな人たちなのか」「その人たちからどんな商品が望まれているか」をしっかりつかみ、そうして想定したお客様に対して、最適と思われる商品(本物)を開発しました。

 

その過程で、お客様の声は非常に有益な情報になります。その結果、私たちのハミガキ粉は製造コストなどの影響で異例の高額商品になり、「高くてもよいもの、安全なものに徹底的にこだわっている人」にターゲットを絞ってプロモーションを立案したのです。

 

しっかりとお客様を選ばなければ、そのような「本物」のマーケティングを展開することは、難しいのではないかと思います。

 

「お客様」と一口に言っても、個々の人たちのライフスタイルや価値観は多様ですから、そのすべてに応えることは不可能ですし、危険でもあるのです。

 

お客様をしぼるのは、ビジネススタイルを確立するうえで必要なことであり、そうして選んだ自分たちのお客様に特化して「本物」を目指せばよいのだろうと思っています。

実店舗に商品を「置かない」メリットの方が大きい

これからのビジネスでは、販売戦略に関しても、「販路を選ぶ」ということがより重要になってくるかもしれません。

 

もちろん、ベンチャー企業の私たちには、既存の大手メーカーなどに比べて資金面や営業力でのハンデがあり、スーパーマーケットなどで棚を取ろうとしても、そう簡単にはいかないことが容易に想像できます。

 

しかし、もし資金力があったとしても、私たちはネット通販に特化していたと思います。前述したように、それが私たちのお客様にぴったりの販売方法だからです。

 

さらに、実店舗に商品を置いてもらう場合のメリット・デメリットを考えると、ライバルと同じ棚に並べないことで得られるメリットのほうが大きいと考えています。

 

というのも、一生懸命営業して商品を並べてもらう棚を確保しても、お店と交渉して取引条件を決めることになります。そうすると、相当譲歩した値引きも検討する必要が出てくると思われます。

 

私たちの商品はハミガキ粉としては高額ですが、ぎりぎりの原価で製造しているので、店の棚に並べると、利益が出なくなる可能性が出てきます。お店の棚に並べないことには、商品の露出が少ないという不利な面だけではなく、自社で価格をコントロールしやすいという有利な面もあるのです。

 

それに、私たちの乳酸菌ハミガキ粉は、従来のハミガキ粉と「同じ土俵」で勝負している商品ではありません。ハミガキ粉というより、むしろ「育児商品」に近いかもしれません。

 

ライバルと同じ棚に並べられ、似たような価値の商品だと思われてしまうと、特徴が消されてしまうでしょう。圧倒的に不利な価格勝負になるばかりか、従来のハミガキ粉と同じようなものだと思われてしまう。それでは意味がないのです。

小さな会社だからこそできる「コミュニケーション」

我が社の商材はハミガキ粉です。しかし、本当の商品は「親子の幸せ」だと思っています。特に、歯みがきを通して「子どもの幸せを創る」ことが私たちの使命です。

 

従来のハミガキ粉の常識を覆し、美味しいハミガキ粉を開発しましたが、そのハミガキ粉の「味」は、表面的な商品属性にすぎません。子どもたちがお母さんと歯みがきを通じてスキンシップを味わえる幸せのほうが、重要な価値なのです。

 

ハミガキ粉を通じて、親子のスキンシップを深めてもらえることや、自分で歯みがきができるようになって自立してもらえること、むし歯を防ぎ、将来の健康を手に入れてもらえること。そういった幸せを子どもたち、そして親御さんと共有できればと思います。

 

小さな会社だからこそ提案できる、そういう新しいライフスタイルを商品に込め、価値観を共有できるお客様に販売しているのです。

 

ですから、もしもこのハミガキ粉を売ってもらえるお店があったら、従来のハミガキ粉とは違う棚に並べてほしいと思います。

 

例えば、離乳食コーナー(1歳から3歳までの「感染の窓」期に使ってほしいから)や、育児コーナー(親子のスキンシップの道具として)などが考えられます。用途は歯みがきに違いありませんが、これは単なるハミガキ粉ではなく、お客様のライフスタイルをよりよく変える商品だと自負しているからです。

 

このように、小さい会社だからこそ、お客様に寄り添い、マスメディアに頼らず、スマホ中心にするなどして、手作りのコミュニケーションで信頼関係を作っていくことが大事だと思っています。

 

そしてお客様に幸せライフスタイルを提供でき、お客さまと長い関係作りができれば、これほど強いマーケティングはないと思っています。

 

<幸せマーケティングの基本>

小さな会社が商品・サービスを「売らずに売る」極意

 

お客様の真の悩みに寄り添い手作りコミュニケーションを図る

儲けようとせず、信頼関係を築く(大手のブランドに勝つ)

ターゲットをしぼる

ライバルと同じ棚で売らない(WBS、SNS中心)

真の悩みを解決する幸せライフスタイルを提案

お客の口コミネットワークで幸せが拡散していく

 

 

齊藤 欽也

歯科医師/ウィステリア製薬株式会社代表

 

歯科医師
ウィステリア製薬株式会社代表
社会起業家
コンサルタント
カウンセラー

1954年生まれ。明海大学歯学部卒業、1982年静岡県富士市にて歯科医院を開業し、以来36年間増収を続けている。当クリニックは、地方都市のシャッター通りの一角にあるにもかかわらず、業界水準を大幅に上回る自費率70%以上を維持し、予約の取りにくい歯科医院として多くの人に支持されている。50歳の時に、医院をビルの2階から新しいコンセプトの大型歯科医院に新築移転する。クリニック経営が順調に進む中、59歳の時、生死をさまよう大病を患ったにもかかわらず、退院後60歳にして新たな分野(大企業がひしめくオーラルケア業界)で起業し、新市場を開拓。わずか3年で驚異の売り上げを記録し、様々な分野で、独自のポジションを築いている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

著者紹介

連載「成熟市場」で生き残る常識破りのマーケティング戦略

レッドオーシャン革命 常識破りのマーケティング戦略

レッドオーシャン革命 常識破りのマーケティング戦略

齊藤 欽也

幻冬舎

定価7800円の子ども用ハミガキ粉がなぜ売れているのか? 創業わずか3年。競争の激しいオーラルケア市場で急成長を遂げたベンチャー企業の軌跡から読み解く「ビジネスの新常識」 現代社会は、品質が優れ価格も手ごろな商品…

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