副業として不動産投資を行う「一般の投資家」層
物件の買主には、どのような層がいるのでしょうか。メインとなるのが、一般の不動産投資家です。サラリーマンであったり、公務員や士業など、安定した本業を持ちながら、副業として不動産投資を行っています。昨今の不動産市況の活性化は、資産家でも地主でもない、これらの一般の投資家層が増えたことによって起こっています。筆者の経営する会社のお客様も、大部分こういった方々です。
ひと口に不動産投資家といっても、収益を求めるタイプ、資産価値を求めるタイプ、減価償却を求めるタイプと様々です。
彼らは収益不動産の情報を、主に『健美家』『連合隊』『楽待』といった収益不動産のポータルサイトから得ています。
相続税対策として収益物件を購入する「大家」
続いて、地主や、昔から家業として賃貸経営を行っている大家です。地主の場合は投資の観点ではなく、先祖代々からの土地を相続する上で、相続税対策としてアパート経営を行っています。
基本的には地主が売却した収益物件を不動産投資家が購入するケースが多いのですが、2代目地主・大家が、資産の入れ替えをするため、新たに収益物件を購入することもあります。彼らの主な取引先金融機関は地方銀行や信用金庫ですから、地元の物件限定で買っていくのがその購買行動の特徴です。
情報の入手先は、地場の不動産業者や金融機関になるのが一般的です。
サラリーマンとは違う目線で物件購入する「一般法人」
一般法人が収益不動産を購入するケースもあります。アパートを寮として購入したいという話や、節税のため、売上の一部で収益不動産を購入したいというニーズもあります。
また不動産投資家がリタイアして専業大家になったケースも、こちらに当てはまります。収益不動産を専門とする事業家ということで、収益性に対する目線は厳しいのが特徴です。彼らは全空物件を安く購入して再生したり、競売で規模の大きな収益物件を購入します。サラリーマンとは違った目線で物件購入をするのです。
また融資も、個人のアパートローンではなくプロパーローン(事業用ローン)で組むため、サラリーマン投資家では融資が付かないような物件でも購入できます。
情報の入手先は、収益不動産専門会社、買取会社、金融機関。つまり買主の中では最も幅広く情報網を展開していきます。
出口戦略を検討する際は、以上で述べたような買主側の特徴を研究することが重要です。中には今にも朽ち果てそうなボロ物件であっても、空室だらけの物件でも購入する・・・という買主もいます。購入のニーズはあるわけですから、赤字が続き過ぎて危機的状況になったときには、損を覚悟で投げ売りをしたほうがよい場合もあります。
ただし高く売るためには、それなりの準備が必要です。前述のような状況では、買主の代表格である不動産投資家層からは購入してもらえません。収支が完全に赤字になるような物件に、融資は付かないからです。やはり、高値売却を行うためには、「皆が買いたい物件」にするための準備が必要なのです。