銀行の決算期の1~2カ月前が高値売却のチャンス
年間を通じて考えると、3月と9月の決算期の少し前、1~2カ月前が高値売却のチャンスです。
というのも、誰もが買える時期に購入すれば、たくさんの買い手がいます。良い物件が見つからず、出たらすぐ売れてしまうわけです。こういった状況下では買い手となる投資家がたくさんいますから、売却には適しています。いわゆる「売りやすい」状況です。
ところが、銀行融資が「閉じた状態」、つまり融資に消極的になり、借りる人の属性や資産背景に対して厳しい縛りができれば、限られた人だけが買える状態となります。
そのようなときはライバルが減りますから、属性の高い「買える人」であれば、安く物件を購入できるチャンスです。逆に売りたい人からすれば、買い手が少ないので、値段を下げていくしかありません。
今、不動産投資で成功している人は、銀行が融資を控えて市場が冷え込んだタイミングに、割安で物件を購入した人たちです。たとえば2008年のリーマンショック後であったり、2011年の東日本大震災の後などがそのタイミングに該当します。
こうして安く購入した物件を、昨年から今年にかけて売却して、利益を確定させています。
いってみれば、相場を読んで、上手に売買を行った賜物というわけです。それは投資の基本中の基本です。株式投資もFXも同様ですが、この基本ルールを実践した人が成功者になるのです。
「融資」が出やすいタイミングに物件を売却する
もちろん、一般投資家の誰もがこれを実践できるかといえば難しいでしょう。しかし売却に関していえば、5年、10年と所有していく中で、銀行融資が開く時期というのは必ずやってくるものです。
物件が安くなるチャンス、つまり融資が出にくいタイミングを狙って物件購入するのは、相当に難易度が高いものです。一方で物件が高くなるチャンス、つまり融資が出やすいタイミングに物件を売却することは、さほど難しくありません。
そのチャンスを待って物件を売却するのが正解なのです。金融機関の動向をチェックすることで、物件を高く売ることのできる時期を見極めることが可能になります。これは誰にでも再現性が高く、効果も高い、極めて理に適った売り時の見極め方です。
これまで売れなかった物件でも、情勢が変わって市場が活発になれば、急に売りやすくなることもあります。
多くの不動産オーナーは、物件購入を検討するときのみ金融機関の動向を気にします。しかしそれは、売却の成否にも関わってくる重要な要素です。常に意識して、売り時を見極める判断材料にしてください。