前回は、売却を有利に進めるために重要な「融資」の知識について説明しました。今回は、物件を実際に購入する「買い手側の目線」を分析します。

物件は「ターゲット」によって売り方が変わる

物件を売却するときに重要なのは、買い手側の目線を持つことです。まず一番に考えるのは、誰に売るのかということ。そして想定する買主はどんな物件を求めているのかを考えます。ターゲットによって、売り方が変わってくるのです。

 

たとえば、不動産投資家であれば次の条件です。

 

●利回り10%以上

●駅から10分以内

●平成築

 

所有する物件と当てはめて考えてみてください。そもそも、皆がほしがる物件を持っている不動産オーナーは、よっぽどの理由がなければ売らないものですが・・・。購入者にどのような物件を探しているか聞けば、イメージだけで、口をそろえて同じことを言います。いわく、「利回り11%、駅から8分。昭和の物件は嫌だ!」と。そのどれにも深い根拠などありません。

 

新耐震基準と旧耐震基準には大きな開きがありますが、実際のところ、平成元年築と昭和64年築の違いなどほとんどありません。にもかかわらず、平成元年築のほうが圧倒的に人気があります。

 

収益不動産を購入するのは、主に不動産投資家です。地方にある物件だとしても、首都圏から購入するケースもあります。「売れやすい物件」とは、ありていにいえば「不動産投資家のニーズに合う物件」なのです。

築古の物件でも、減価償却などを目的に購入する人も

しかし、それだけにとらわれてはいけません。地元の投資家が購入する場合もあります。中には資産の入れ替えで、地主が購入するケースもあります。自分の物件がどういったニーズに応えられるのか、しっかりと研究することが肝要です。

 

筆者が先日買ったのは、昭和47年築の物件でした。1階がスナックで、上がアパートの2世帯です。前の売主がリフォームしている状態で満室で購入して、順調に経営しています。利回りは10%、内装はキレイなのですが、見た目はボロボロです。購入を決めた理由は「建て替えて新築アパートをやろうかな?」と思ったからです。駅近という立地の良さも決め手になりました。

 

このように、たとえ築古の物件でも、建て替えや減価償却を目的に購入する人がいます。銀行融資面では価値が付かなくとも、その他の側面から考えれば価値があるということは、往々にして起こり得ます。先程述べたような条件に当てはまらなければ価値がないとは、一概に言えないのです。

 

そこで次回からは、どんな買主がいるのか、その買主はどのような特徴を持っているのかについて解説していきます。

本連載は、2015年10月26日刊行の書籍『万年赤字物件を驚異の高値で売る方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

万年赤字物件を 驚異の高値で売る方法

万年赤字物件を 驚異の高値で売る方法

新川 義忠

幻冬舎メディアコンサルティング

不動産投資ブームが過熱する中、多くのサラリーマン投資家が誕生しています。家賃収入で不労所得を得たい・・・皆、そんな夢を描いて収益不動産を購入するのですが、誰もが成功しているわけではありません。 そもそも、全国の…

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