前回は、実際に物件を購入する買主とはどのような人々なのか、何を重視するのかを説明しました。今回は、物件を高く売るために重要となる、不動産会社の選び方を見ていきます。

信頼できる業者は、規模ではなく「業務経験」で選ぶ

物件を高く売るためには、売却を依頼する不動産会社選びも重要です。アパートやマンションなど収益不動産であれば、その会社がどの程度顧客を抱えているかといった点も、大切な指標になります。

 

地場の不動産会社など、顧客の母数が少ない業者に頼むと、「レインズ(不動産流通標準情報システム)」のみに頼ったり、孫請けの業者に丸投げされる場合があるからです。

 

もちろん、孫請け自体が絶対に悪いとも言い切れません。筆者も、懇意にしている業者に売却を依頼する場合もあります。かつての部下や共に働いていた同僚など・・・今は別々の会社で働いていますが、いずれも信頼のおける営業マンたちです。彼らは収益物件の売買におけるキャリアが長いため、物件を高値売却するための営業力やノウハウをしっかりと保持しているのです。

 

信頼できる業者は、規模ではなく業務経験で選ぶべきです。たとえば前述の私の仲間たちは、「早く売りたい」「高く売りたい」といった売却希望者のニーズに合わせて、最適な売り先を見つけてくれます。

 

急ぎなのか。高く売りたいのか。物件の状況が満室で、価値が高まっているときに売るのか。キャッシュアウトしてリフォームもできないボロボロの赤字状態から脱するために、損切りをするのか・・・売却のニーズによって、ふさわしい売り先は変わってきます。

 

自分の物件の状況・程度をしっかりと把握して、今後の投資姿勢を検討する。その上で、自分がどのような売却を望むのか決めていく必要があります。信頼のおける業者ほど、こういった点についてしっかりとヒアリングして、希望を洗い出すサポートをしてくれるものです。

最低でも「3社」は業者を比較検討する

業者選びをするに当たって、相談は1社だけでなく、何社か聞いたほうがいいでしょう。最低でも、次の3社を比較検討してください。

 

●大手業者(財閥系・電鉄系)

●地元業者(老舗)

●専門業者(収益専門の売買仲介)

 

大手と地元の不動産会社、アパートであれば収益不動産の専門会社です。同じ売買仲介であっても、規模や地域の違う会社をあえて選んでください。もっと増やすのなら、不動産投資物件を専門にやっている会社を2~3社入れてみるのもよいでしょう。

 

専門会社のみならず大手や地元なども含めるのは、それぞれ抱えている顧客の層が異なるからです。その顧客は、売りに出す物件の購入者となる可能性が高いのです。こうしたことも考え合わせて、不動産会社選びの、いわば「コンペ」を行います。

 

大手業者は法人を抱えていることが多いです。地元業者は、その土地の地主や投資家を抱えています。顧客層が異なるのですから、それぞれ違った目線からのアドバイスをしてくれるでしょう。

 

このように、目線の異なる3社の特性・情報を多角的に比較分析して、最適と思われる業者を選ぶのが賢いやり方です。

本連載は、2015年10月26日刊行の書籍『万年赤字物件を驚異の高値で売る方法』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

万年赤字物件を 驚異の高値で売る方法

万年赤字物件を 驚異の高値で売る方法

新川 義忠

幻冬舎メディアコンサルティング

不動産投資ブームが過熱する中、多くのサラリーマン投資家が誕生しています。家賃収入で不労所得を得たい・・・皆、そんな夢を描いて収益不動産を購入するのですが、誰もが成功しているわけではありません。 そもそも、全国の…

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