前回は、不動産投資の赤字で本業の黒字を消す節税策の問題点を取り上げました。今回は、本業の所得税還付を目的とした不動産の赤字経営が、実際には「損」になってしまう理由を見ていきます。

事業が黒字なら、利息も経費として認められるが・・・

つぎもちょっと面倒な借入金の利息の話だ。再三、銀行からおカネを借りてマンション・アパートを建てる話をしてきたが、おカネを借りたら利息を払うのは当然だ。いくら低金利時代といっても1億円単位で借りれば利息もばかにならない。年間支払った利息も事業が黒字であれば経費として認められる。

 

ところが赤字となると個人の場合、そうはいかない。銀行から借りたおカネのうち土地を買うのにつかった分にかかる利息と赤字の金額とのいずれか少ない金額が経費にならないのだ。

赤字を目的とした不動産経営は、税務当局の考えと対立

図表は土地取得費にかかる利息を算出するための方法をしめしたものだが、マンション・アパートの経営が赤字だと、このケースでは最大支払い利息300万円のうち100万円が経費として認められないことがわかる。

 

[図表]知らないと損する不動産所得の知識

 

これは高額所得者があえて赤字の賃貸物件を買って本業の所得と相殺して税金の還付を受けることを制限するものだ。国はこうした制度を通じて庶民が感じる不公平感を少しでもやわらげ、一方で地価の高騰も防ごうとしているわけだ。

 

だから赤字にするためにマンション・アパートの経営をすること自体、こうした国や税務当局の考え方とまっこうから対立することになる。ここから、賢い大家さんのやることではないとわかるだろう。

 

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本連載は、2017年5月刊行の書籍『年収400万円でも大家さんになれる 工務店社長が教える5つの流儀』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

年収400万円でも大家さんになれる 工務店社長が教える5つの流儀

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町田 泰次

幻冬舎メディアコンサルティング

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