前回は、賃貸物件のプランニングとして「角部屋」にこだわるべき理由を取り上げました。今回は、空室リスクが低く、収益率の高い「物件作り」のポイントを見ていきます。

建ぺい率にこだわると、EV費用で損するケースも…?

敷地と建物の関係では、むやみに高い建物をたてないことも大切だ。土地には用途地域などの違いによって建てられる建物の大きさや高さが制限されている。だから世の中の大家さんは、容積率・建ぺい率いっぱいのマンション・アパートを建てたがる。また工務店など建てる側も、大きな建物を建てればそれだけ予算がふくらむから、そうしたプランを歓迎しがちだ。

 

しかし賢い大家さんは、容積率・建ぺい率が大きいからという理由だけで、むやみに高い建物を建ててはいけない。なぜか。それは一定の高さ以上になるとエレベーターが必要になるからだ。法律や条令で義務付けられてはいないものの、たとえば7階建ての賃貸マンションにエレベーターがなかったとしたら、高層部分は空き部屋ばかりになるだろう。

 

エレベーター(EV)は設置にもおカネがかかるし、常時動かすから電気代もかかる。さらに定期点検や修理などのコストも馬鹿にならない。それを考えると、たとえば4階建てにエレベーターをつけるより、戸数は減っても3階建てでエレベーターなしにした方がいい場合もあるのだ。

調査なしで作る「自己満足の物件」は空室リスクが高い

とはいえ不動産投資は失敗してはじめてわかるので、自分のマンション・アパートのプランニングではあまり考えすぎないことも大切だ。パートナーの不動産会社や工務店の意見をききながら、ひとつひとつ判断していけば、だれもが住んでみたいと思うような物件に仕上げられるという自信をもつことだ。それには物件に惚れ込むことが大切。

 

ただし、自己満足におちいらないこと。これだけはいっておきたい。大家さん業を長く続けていると、だれもがこんなふうに考えるようになるものだ。自分の賃貸マンション・アパートを、自分の思うように自由につくってみたいと。

 

それまでは、いろいろな人に話をきき、データも集め、実際に足を運んで現物をみて、と慎重にプランをねってきた大家さんが突然、人が変わったように珍妙な物件をつくりはじめることがある。

 

奇抜な外観や色、賃貸住宅には豪華すぎる照明、大きすぎるワンルームなど、自分は気にいっているようだが、すべて一人よがり。いくら腕のいい営業マンががんばっても、とても満室はむずかしそうな物件だ。

 

私は工務店のおやじという仕事柄、こうした物件をたまにみかけることがある。こうした自己満足物件の末路は、いうまでもない。人のやらないことをやることは大事だが、それが自己満足であってはいけないのだ。

本連載は、2017年5月刊行の書籍『年収400万円でも大家さんになれる 工務店社長が教える5つの流儀』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

年収400万円でも大家さんになれる 工務店社長が教える5つの流儀

年収400万円でも大家さんになれる 工務店社長が教える5つの流儀

町田 泰次

幻冬舎メディアコンサルティング

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