前回は、研修参加者の学習意欲を高める「ARCS動機づけモデル」について解説しました。今回は、3つのIDモデルのうちのひとつ、「メリルのID第一原理」について説明します。

効果的な学習環境を実現するために必要な要素

前回の続きです。

 

②メリルのID第一原理

 

メリルのID第一原理は、M・ディビッド・メリルが提唱する効果的な学習環境を実現するために必要な要素を書き出したものです(以下の図表を参照)。

 

あらゆる研修・教材を作成する際の設計指針として役立ちます。大人は自分の業務に直結した課題解決型の学びに強い関心を示すものです。そのため、理屈よりもケーススタディなどで解決方法を紹介すると、より学ぶ意欲がわいてくるのです。

 

[図表]メリルのID第一原理

出典: 鈴木克明著『研修設計マニュアル 人材育成のためのインストラクショナルデザイン』(北大路書房)一部改編
出典: 鈴木克明著『研修設計マニュアル 人材育成のためのインストラクショナルデザイン』(北大路書房)一部改編

課題と業務の関連性を示し、参加者の注意を引く

研修の冒頭でリアルワールドの課題に取り組んでもらい、業務との関連性を示すことで、参加者の注意を引くことからスタートします。

 

そのケースにチーム脳で取り組ませた後で、不明点や疑問点に対する回答を情報として例示します。さらに、他のケースで応用して、課題が解決できそうだという自信をつけてから職場に戻します。職場で、実際の問題が解決できれば、研修への満足度も高くなります。

 

このメリルのID第一原理を使う場合は、IDerやトレーナーは、現場で起きている課題や参加者が実際に困っている課題をいかにケーススタディとして用意できるかが非常に重要です。または、参加者たちにリアルな課題を用意させるやり方も効果的です。

 

この話は次回に続きます。

魔法の人材教育

魔法の人材教育

森田 晃子

幻冬舎メディアコンサルティング

社員が思うように育たない――そう嘆く人材教育担当者の声をしばしば耳にします。たとえば、多くの企業では階層別研修などの「企業内研修」を実施していますが、これらの研修は厳密な効果測定が難しいうえに、受講者からは「知…

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