子や孫への「住宅取得等資金の贈与の特例」の概要

子や孫への「住宅取得等資金の贈与の特例」の概要

今回は、子や孫への「住宅取得等資金の贈与の特例」の概要について見ていきます。※本連載では、税理士法人チェスター監修、株式会社エッサム編集協力、円満相続を応援する税理士の会の著書『相続は突然やってくる!事例でわかる相続税の生前対策』(あさ出版)から一部を抜粋し、ある程度財産を持っている人が、生きているうちに行える相続対策を紹介していきます。

住宅の名義を持ち、実際にそこに住むことも条件に

贈与税では、直系尊属(父母や祖父母、曾祖父母など)から直系卑属(子や孫、ひ孫など)への贈与に、いくつかの特例を設けています。その一つが、住宅を取得するための資金を贈与した場合の特例です。

 

子や孫、ひ孫が自宅を手に入れるために資金を必要とし、そのための現金を父母や祖父母、曾祖父母が贈与した場合、一定金額までは非課税になります。新築住宅の建築や購入だけでなく、中古住宅の購入、現在住んでいる家の増改築、自宅を建てる敷地を取得するケースにも、適用できます。あくまでこの特例は、新たに住宅を取得したり、増改築したりするために現金を贈与するケースに限られます。つまり、不動産を贈与するケース、購入済みの住宅ローンに充てるお金を贈与するケースは、対象外となります。

 

[図表]

また、贈与された人がその住宅の名義を持ち、実際にそこに住むことも条件となっています。賃貸や売買に回すと、特例が取り消され、通常の贈与税が課税されますので、くれぐれも注意してください。

年度末までの使い残し、居住を始める期限にも注意

この特例では、良質の住宅(省エネ等住宅)を建築・購入するケースに対して、非課税限度額を手厚く設定しています。断熱性能が高い、耐震・免震性がある、高齢者へ配慮しているなどの要件を満たせば、省エネ等住宅と認められ、非課税限度額の枠をひろげることができます。

 

なお、贈与されたお金を住宅等を購入した年度末までに使い残した場合、残額分については贈与税がかかります。つまり、余分に贈与して、何かのためにとっておくといったことはできませんから、期限までにきっちり使い切ることをめざしてください。

 

また、取得後に居住を開始する期限も区切られていますから、具体的な購入プランがあり、必要金額がわかってから贈与したほうがいいでしょう。

 

なお、この特例で贈与されたお金は、全額が相続時に持ち戻しされずに済みます。

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    本連載は、2017年2月26日刊行の書籍『相続は突然やってくる!事例でわかる相続税の生前対策』から抜粋したものです。稀にその後の法律、税制改正等、最新の内容には一部対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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