今回は、「保険料の暦年贈与」を活用した相続税対策について見ていきます。※本連載では、税理士法人チェスター監修、株式会社エッサム編集協力、円満相続を応援する税理士の会の著書『相続は突然やってくる!事例でわかる相続税の生前対策』(あさ出版)から一部を抜粋し、ある程度財産を持っている人が、生きているうちに行える相続対策を紹介していきます。
孫たちに暦年贈与をしたいが、無駄遣いが心配…
Hさんは孫名義の口座を作って少しずつ贈与してきましたが、孫たちの無駄遣いが心配だったため、通帳は自分の手元に置き、Hさんが亡くなった時点で渡るようにと考えていました。ところが知り合いの税理士から、「お孫さん自身が口座を管理していないと、贈与が成立しない。このままだと相続税がかかるよ」といわれてしまいました。
あらためて暦年贈与をしていこうと思いますが、孫たちの管理に任すのは正直なところ心配です。将来何かあったときのために、あまり使わずに取っておいてもらいたい。Hさんがコントロールでき、かつ贈与としても成り立つという、うまい方法はないものでしょうか。
Hさんの家族構成…Hさん/妻/長男夫婦/孫3人
Hさんの資産…不動産:自宅1400万円/金融資産:預貯金4000万円
相続税の基礎控除額…4200万円
減らしたい額…1200万円
[図表1]贈与したお金の無駄遣いが心配なHさんの場合
孫が支払う保険料を「基礎控除の枠内」で贈与
Hさんの場合も、生命保険で解決できます。ただ、Hさんを契約者にはしません。Hさんが保険料を負担した保険金をお孫さんが受け取ると、孫は相続人でないので、保険金の控除が適用されないからです。
ポイントは、契約者をお孫さんにすること。保険料の支払いも、通常の分割払いとします。つまり、お孫さんが保険料を支払っていくわけですが、それに充てるお金は、毎年Hさんが基礎控除の枠内で贈与していきます。
これで無駄遣いされることなく、Hさんが亡くなった時点で、まとまったお金としてお孫さんに渡ります。
Hさんが存命でも、保険を解約すれば、解約返戻金がお孫さんの手に渡ります。
お孫さん自身が保険料を支払うかたちですから、保険金はHさんの相続財産にならず、相続税もかかりません。
もっとも、代わりに所得税がかかりますから、その点には注意してください。
[図表2]生命保険の保険料を贈与する
相続税を専門に取り扱う珍しい税理士事務所。年間1,500件(累計7,000件以上)を超える相続税申告実績は税理士業界でもトップクラスを誇り、中小企業オーナー、医師、地主、会社役員、資産家の顧客層を中心に、低価格で質の高い相続税申告サービスやオーダーメイドの生前対策提案等を行なっている。各種メディアやマスコミから取材実績多数有り(※写真は代表社員 荒巻善宏氏)。
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税理士/社会保険労務士/行政書士 森敏夫事務所
税理士・社会保険労務士・行政書士
税理士、社会保険労務士、行政書士、認定支援機関。融資を受ける際の政策金融公庫他の金融機関の紹介や融資申込時の経営計画の作成サポート等々、会社経営における最重要課題である資金についてもサポートしている。
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木村祐司税理士事務所
税理士・アセットコンサルタント
1967年生まれ。中学卒業後、タンカーの甲板員から始まりブルーカラーの仕事にいくつか従事する中で、給料から天引きされる税金に疑問と興味を持ち税理士を志す。1998年12月税理士試験に合格。当初はコンサルティングファームでファイナンシャルディレクターとしての経験を積み、企業会計実務の知見を得た後に木村祐司税理士事務所を開設、現在に至る。
経営者や資産家の財務・税務コンサルティングを強みとし、絶対的な信頼感のもと企業の資金調達、経営管理、節税対策や資産管理、事業承継までを任されている。資産3億円以上を得意とし、相続税・贈与税だけではなく、資産運用の観点からトータル的なTAXプランニングの提案・実行をおこなう。
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田中英二税理士事務所
税理士・CFP®・1級FP技能士
2004年「身近な相談相手」をモットーに田中英二税理士事務所を開業。事務所は相続を専門におこなっており、生前対策である相続コンサル ティングにも力をいれている。また、金融機関・ハウスメーカー等でセミナー・個別相談会も随時実施し、好評を得ている。
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コーワ総合会計事務所
公認会計士・税理士・行政書士・宅地宅建取引士・M&Aコンサルタント
京都大学工学部機会工学科卒業。平成5年新日本監査法人入所。平成10年コーワ総合会計事務所開業。株価鑑定、事業承継対策、M&A、企業組織再編、医療経営アドバイザー、監査役、大阪地裁の民事再生財務調査等を手掛ける。
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野島由寛税理士事務所
税理士
昭和63年生まれ。25歳の時に税理士登録後、日本最大手の税理士事務所に入所。メガバンクに出向し富裕層の相続対策や自社株承継対策に従事する傍ら、相続税申告業務及び金融機関や証券会社の主催するセミナー講師を務める。
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中央シティ税理士法人
税理士・特定行政書士・MBA・登録政治資金監査人
都市銀行役員、総務大臣政務官秘書、参議院外交防衛委員長秘書を歴任。CFG中央シティフィナンシャルグループ代表。早稲田大学賛助代議員、神奈川工科大学大学院講師。日本で単独第1号の内閣総理大臣宛の「内部統制報告書」(J-SOX)を完成。読売、朝日、毎日新聞連載。政府認定・経営革新等支援機関。
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