今回は、「相続開始前3年以内の持ち戻し」を意識した、キャッシュを使った節税対策を見ていきます。※本連載では、税理士法人チェスター監修、株式会社エッサム編集協力、円満相続を応援する税理士の会の著書『相続は突然やってくる!事例でわかる相続税の生前対策』(あさ出版)から一部を抜粋し、ある程度財産を持っている人が、生きているうちに行える相続対策を紹介していきます。
「贈与以外」の方法で財産を圧縮したいが…
これまでさまざまな贈与で資産を圧縮してきたFさん。あと400万円ほど減らせば、相続税の基礎控除の枠内におさまるところまでこぎつけました。しかし、近頃大病をしたことで、「今後はうかつに贈与できない」と考えるようになりました。これから贈与する分が、「相続開始前3年以内の持ち戻し」となるかもしれないと思うからです。
ものを購入すればキャッシュは減らせますが、購入物が相続財産に組み入れられるわけですから、節税対策にはなりません。キャッシュを使えて、なおかつ相続税がかからない、そんな対策はないかと思案しています。
Fさんの家族構成…Fさん/妻/長女夫婦/孫2人/次女夫婦/孫2人
Fさんの資産…不動産:自宅マンション1000万円/金融資産:預貯金4200万円
相続税の基礎控除額…4800万円
減らしたい額…400万円
[図表1] あと少しで基礎控除におさまるFさんの場合
税法上、墓地や墓石には相続税がかからない
Fさんが心配している「相続開始前3年以内の持ち戻し」とは、相続が発生した時点で、そこからさかのぼって3年以内になされた贈与については相続財産として扱われる、というルールです。
相続税対策として贈与をしても、人生最後の3年分の贈与はなかったことにされてしまうのです(なお、贈与の特例は、例外として持ち戻されないものもあります)。
Fさんように大病などで予後が心配な場合は、自分のお墓を生前に購入するなどでキャッシュを減らしておくこともできます。お墓など、税法上、礼拝の対象になるものには相続税がかからない決まりになっています。
もしお墓の購入を死後に娘さんたちにゆだねた場合、お葬式の費用とは違って、相続税の控除を受けられません。Fさん自身がお墓を用意しておいたほうが、遺された娘さんたちにいらぬ出費をかけませんし、税法上でもメリットがあるのです。
[図表2]「相続税がかからない財産」=お墓を買う
相続税を専門に取り扱う珍しい税理士事務所。年間1,500件(累計7,000件以上)を超える相続税申告実績は税理士業界でもトップクラスを誇り、中小企業オーナー、医師、地主、会社役員、資産家の顧客層を中心に、低価格で質の高い相続税申告サービスやオーダーメイドの生前対策提案等を行なっている。各種メディアやマスコミから取材実績多数有り(※写真は代表社員 荒巻善宏氏)。
税理士法人チェスター http://chester-tax.com
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載「金融資産が多い人」のための生前贈与と節税対策
税理士/社会保険労務士/行政書士 森敏夫事務所
税理士・社会保険労務士・行政書士
税理士、社会保険労務士、行政書士、認定支援機関。融資を受ける際の政策金融公庫他の金融機関の紹介や融資申込時の経営計画の作成サポート等々、会社経営における最重要課題である資金についてもサポートしている。
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載「金融資産が多い人」のための生前贈与と節税対策
連載記事一覧
連載「金融資産が多い人」のための生前贈与と節税対策
味澤昭次税理士事務所
税理士・認定経営革新等支援機関・横浜商工会議所会員
中規模の税理士事務所にて20年以上にわたり地主・資産家の方々の資産税業務や中小企業の税務会計業務に従事し、平成25年に税理士登録、平成26年3月に税理士事務所開業。
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載「金融資産が多い人」のための生前贈与と節税対策
木村祐司税理士事務所
税理士・アセットコンサルタント
1967年生まれ。中学卒業後、タンカーの甲板員から始まりブルーカラーの仕事にいくつか従事する中で、給料から天引きされる税金に疑問と興味を持ち税理士を志す。1998年12月税理士試験に合格。当初はコンサルティングファームでファイナンシャルディレクターとしての経験を積み、企業会計実務の知見を得た後に木村祐司税理士事務所を開設、現在に至る。
経営者や資産家の財務・税務コンサルティングを強みとし、絶対的な信頼感のもと企業の資金調達、経営管理、節税対策や資産管理、事業承継までを任されている。資産3億円以上を得意とし、相続税・贈与税だけではなく、資産運用の観点からトータル的なTAXプランニングの提案・実行をおこなう。
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載「金融資産が多い人」のための生前贈与と節税対策
田中英二税理士事務所
税理士・CFP®・1級FP技能士
2004年「身近な相談相手」をモットーに田中英二税理士事務所を開業。事務所は相続を専門におこなっており、生前対策である相続コンサル ティングにも力をいれている。また、金融機関・ハウスメーカー等でセミナー・個別相談会も随時実施し、好評を得ている。
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載「金融資産が多い人」のための生前贈与と節税対策
コーワ総合会計事務所
公認会計士・税理士・行政書士・宅地宅建取引士・M&Aコンサルタント
京都大学工学部機会工学科卒業。平成5年新日本監査法人入所。平成10年コーワ総合会計事務所開業。株価鑑定、事業承継対策、M&A、企業組織再編、医療経営アドバイザー、監査役、大阪地裁の民事再生財務調査等を手掛ける。
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載「金融資産が多い人」のための生前贈与と節税対策
野島由寛税理士事務所
税理士
昭和63年生まれ。25歳の時に税理士登録後、日本最大手の税理士事務所に入所。メガバンクに出向し富裕層の相続対策や自社株承継対策に従事する傍ら、相続税申告業務及び金融機関や証券会社の主催するセミナー講師を務める。
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載「金融資産が多い人」のための生前贈与と節税対策
中央シティ税理士法人
税理士・特定行政書士・MBA・登録政治資金監査人
都市銀行役員、総務大臣政務官秘書、参議院外交防衛委員長秘書を歴任。CFG中央シティフィナンシャルグループ代表。早稲田大学賛助代議員、神奈川工科大学大学院講師。日本で単独第1号の内閣総理大臣宛の「内部統制報告書」(J-SOX)を完成。読売、朝日、毎日新聞連載。政府認定・経営革新等支援機関。
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載「金融資産が多い人」のための生前贈与と節税対策