不動産の「売却後」を予測しているか?
前回の続きです。
不動産投資で成功している人は、売却をうまく組み込んでいます。タイミング良く購入して、良い時期に売却をしています。売却することで資産を組み替え、規模を拡大しています。
今の時期であれば、「ローンが組みやすいから次の物件を買いたいけれど、価格が高すぎてなかなか買えない」という悩みをお持ちの方もいるかもしれません。しかし、時期が違えば悩みもまた変わるものです。時代が変われば、「所有物件を売って新物件を買いたいけど、今は融資が厳しいから誰も買えない」。このような、今とはまったく逆の状況も起こりうるわけです。
どんな状況であれ、そのとき投資家にとって良い道を提案するのが我々コンサルタントの役目です。
また、投資家自身も「売れそうだから売ってみよう」で漠然と考えているだけで、売った後の次の展開を予測していないのであれば、売らないほうが賢明です。
今はたしかに高く物件を売れる時期ですが、何の考えもなしに売るのは乱暴すぎるのではないでしょうか。
不動産投資で大事なのは、手元に残るキャッシュ
今、売却すればいくらで売れるのか。市場で売れると見込んだ金額があって、そこにローンの残債があれば、引き算で手残りを計算するのも簡単なことです。
しかし、私たちは「売った後どうするのか」を常に考えるようにしています。「Aさんだったら、何々銀行の、このローンが組めそうです」「この銀行を使えば、こういう物件が買えそうです」とか、「このエリアなら融資がつきます」といったことを、多忙な投資家に代わって調査します。そして、シミュレーションを行います。
きちんと調べて、手堅いことを確認してから「これはどう思いますか」と提案して、そして、納得してもらえたところで、初めて売却に進む・・・といった形で進めています。売却後のその先が重要なのです。
売却して回収した自己資金と、負債が減ったことで、次のステップの物件を買っていただく。売ることによるメリットがない方にはそういう提案はしません。
投資家は利回りで物件を判断する傾向にありますが、大事なのは手元に残るキャッシュです。売却後に買った物件は、利回りで考えたら下がるかもしれませんが、融資条件が格段に良くなっているためキャッシュフローが多く残る・・・そんな提案をしています。
ほかにも収益率は変わらなくても、築古物件から新築・築浅物件に組み替えればメンテナンスコストが減って管理がしやすくなるような形の複合的な提案もあります。
要は自分に合うやり方なのか、市況に合うやり方なのか。この二つの組み合わせなのです。
運営に苦しまないためにも、複数の出口戦略を
今、不動産投資は盛り上がっていますが、賃貸マーケットはどんどん縮小傾向にあります。ご存じの通り人口が減っているからです。
さまざまな可能性がある中で生き残っていくための策は、昔だったらどこかいい場所に建てておいて、借金して代々残せばいいという時代がありました。
今は、そのやり方でアパートを建てた地主が、運営に苦しんでいる時代です。簡単に物件を手放すことができないので、次の展開がないし、手放さないことによって、運営の苦しみからは解放されません。ですから多くの選択肢を用意しておくべきだと考えます。
そのためには、さまざまな可能性を説明できる人に相談するのが良いでしょう。それも一つの視点だけで単に「売ればいい」ということではなく、複数の道筋を知るプロにです。
何が正解かというのは、今すぐわかるものではありません。今後も投資人生が続いていくのですから、どういう想定で、どういう流れが来るのか、どういう流れにしていきたいのかによってまた変わるものです。