前回は、不動産投資を拡大・成功に導く「出口戦略」の重要性を取り上げました。今回は、クセのある収益物件を売却する場合、その後のクレームを防ぐ方法などを見ていきましょう。

問題点があれば事前にきっちり説明を

[失敗事例]売却後にクレームが続出

長年、都内S区に住んでいます。10年前に自宅のそばに築古のアパートを購入して昨年売却しました。依頼したのは自宅からほど近くにある大手業者です。自宅購入のときにお世話になっていたので、安心していたのですが、売却後になってから建物のことや入居者のことなど、何度も何度も問い合わせやクレームが入って煩わしく思っています。最近、雨漏りのトラブルが出て、こちらが修繕しなくてはいけないような話も出ています。築古アパートだから仕方ないのでしょうか。

 

売却で現金化するにあたり「トラブルが起こらずスムーズに売却したい」とは誰もが思うところです。

 

物件が古くなり、入居者さんも高齢の人が増えてきた。あるいは若い人がメインだと、属性がそんなに良くない。自分で入居者のこと全部把握できていない。こういった物件は、持っていればこの先リスクも増えて、いろいろトラブルが起こりそうだと売却の候補となります。

 

この投資家は「引き継ぎ時にトラブルは避けたい」と考えて、すでにご自宅の購入で取引のあった地元の大手不動産業者に売却を依頼しています。地元で信頼のある会社であれば、そのネームバリューにはたしかに安心感がありますし、仕事で大きな間違いを犯すこともほとんどないでしょう。

 

しかし、収益物件を売却する場合は少し事情が変わってきます。売却を依頼したアパートは、大手では普通の一般不動産と同様に取り扱われます。買い手となるお客さんの層は幅広くなるのはメリットであり、デメリットでもあります。

 

クセのある物件を売りに出しているのだから、運営能力の高い投資家に、きちんと理解したうえで買ってもらわないと、後からクレームが続出する可能性が高くなります。

 

特にマイホームをメインとしている仲介業者では、収益物件のノウハウが少ないものです。売却する準備段階で事前にわかっていたことを、きちんと買い主に伝えていないため、売った後でトラブルになることもあります。

過去の工事履歴を残し、物件の状態を把握しておく

オーナーとしてトラブルのない売却のための準備としては、工事履歴をしっかり残しておきましょう。雨漏りが過去にあった物件でも、「いくらの費用をかけて、どういう工事をしたのか記録が残っています」ということであればハンデになりません。

 

例えばシロアリ工事をしていれば、保証が5年とか7年つくので、その保証書があれば、何か起こったとき、そのシロアリ業者が保証により対応してくれます。

 

やはりきちんと履歴を残しておくことが、自分の資産防衛になるわけです。過去に工事をやったにもかかわらず、書類が残っていなくて、何年前だったかも定かでない。これでは、買主に説明がつきません。買う人だってエビデンスがないと安心できないという話になります。

 

できれば、よい形でいつでも売れるように日頃からきちんと管理をしておくべきです。オーナーとして「不動産屋に任せれば不労所得だ」ではなく、情報を共有して整理しておくのが大切です。

 

物件数が多かったり、本業が忙しい事情があるにせよ、物件を把握していない、努力もしていない。仮に管理会社に落ち度があったとしても、結局自分に全部返ってくることになります。

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    本連載は、2016年10月11日刊行の書籍『失敗例から学ぶ 儲かる不動産投資の極意』から抜粋したものです。稀にその後の税制改正等、最新の内容には一部対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    平山 智浩・渡辺 章好

    幻冬舎メディアコンサルティング

    物件の周辺環境の変化、急な修繕、家賃滞納など数々のリスクが潜む不動産投資において、事前にそのリアルな失敗パターンを知ることが不可欠です。多くの個人投資家にコンサルティングを行い、それぞれに合った不動産投資の方法…

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