前回は、不動産の購入時に設定する「ゴール」の重要性を取り上げました。今回は、不動産投資における「失敗のケーススタディ」の意味について見ていきます。

不動産投資は「知っておくべきこと」が多岐にわたる

不動産投資には、失敗のバリエーションがたくさんあり、失敗のケーススタディをすることによって失敗を避けることができます。

 

不動産投資の特徴として、知るべきことが多岐にわたっていることが挙げられます。不動産取引の実務に関しては宅建業法ですし、建物の建設や部屋のリフォームについては建築の知識が必要です。経理や税務、賃貸管理ではゴミの出し方といったマナーの問題、行政のルールやご近所の付き合いまでが範囲です。

 

そのすべては外注することができますが、だからといって丸投げにするわけにはいきません。何らかの問題があれば、「解決できるか、できないか」「コストがかかるのか、それはいくらなのか」といった判断が必要なのです。

 

失敗例で多いのは「急いで契約してください。早い者勝ちですよ」と言われて買ってみたら、いろいろな問題が起きて、手間もコストもかかってしまい、結果的に収益を生まない、場合によっては赤字になってしまうというケースです。

 

もしくは何とかトラブルが解決できても、とにかく現地に頻繁に行かないとうまく運営できないというケースもあります。一つの物件に手がかかってしまえば、それ以上増やしたくてもそう思わなくなってしまうということもあります。その結果、物件を手放すことになり、「売ってホッとしました」というような、何のために不動産投資を始めたのかわからないような話もあるのです。

人が介在する不動産事業は「縁」や「運」の要素も重要

では、実際に不動産投資で成功している人は、どんな人なのでしょうか。

 

まず「地味で堅実」であることは、成功者に共通する特徴です。実績を出している投資家さんは、本を書いたりセミナーをしたりしませんし、まったく表に出てきません。そして、すごく謙虚です。

 

また、自分の本業も大切にしていますし、違う業界の人間である我々に対しても敬意を払って、聞く姿勢を持ってくれています。本当は下手な不動産営業マンよりも豊富な知識を持っていますが、そこは、人付き合いがうまいところ半面、本当に謙虚なところも半面で、ビジネスとして使い分けているのでしょう。

 

FXや株の場合、結局どんな売り方、どんな買い方をしようが、他人の気持ちは関係ありません。会社を買収するほど株を買う場合は別ですが、通常の株取引の場合は、いくらで買って、いくらで売って、いくら儲けても、すべて機械がやってくれるので、それで誰かが嫌な思いをすることはありません。

 

不動産投資についていえば、事業をやっている以上、人が介在しています。また、多くの人と関わらなくては商売ができません。周りの人に嫌な思いをさせてしまうと、どんどん自分の道を狭めていってしまうことになりますので、そこは株やFXなどの投資とは違うところです。

 

結局、銀行の営業マンも人ですし、物件の仲介も売主側の仲介も人です。いろんな人が関わって初めて商売が成り立っているので、自分だけが虫のいい条件を突き付けたりすると、後々自分の首を締めることになります。

 

数字派の人は徹底して数字で見ようとしますが、数字というのは意外に再現性がありません。融資ひとつとっても、金利がいくらでどう、という話に行き着くためには、担当者との相性とか、支店の方針とか、たまたま窓口に出てくれた営業マンがどんな人かとか、そういう縁や運の部分が重要だということもあります。

本連載は、2016年10月11日刊行の書籍『失敗例から学ぶ 儲かる不動産投資の極意』から抜粋したものです。稀にその後の税制改正等、最新の内容には一部対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

失敗例から学ぶ 儲かる不動産投資の極意

失敗例から学ぶ 儲かる不動産投資の極意

平山 智浩・渡辺 章好

幻冬舎メディアコンサルティング

物件の周辺環境の変化、急な修繕、家賃滞納など数々のリスクが潜む不動産投資において、事前にそのリアルな失敗パターンを知ることが不可欠です。多くの個人投資家にコンサルティングを行い、それぞれに合った不動産投資の方法…

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