(※写真はイメージです/PIXTA)

子どもが独立した後も、電話やメッセージで近況を確かめ合う親子は少なくありません。孫が生まれれば、成長を見守る楽しみも増えるでしょう。一方、子ども世帯には仕事や家事、育児などの日々の予定があります。会いたい気持ちから連絡を重ねるうちに、相手の負担になっていたと気づくこともあるようです。家族との適切な距離感は、年齢とともに変化していきます。 ※本記事に掲載している事例は、プライバシー保護および情報の一般化のため、実際の相談事例をベースに一部の数値や設定を変更・再構成したモデルケースです。

「今週末は会える?」娘に連絡するのが習慣だった74歳女性

74歳の節子さん(仮名)は、夫を8年前に亡くし、現在は一人暮らしをしています。

 

年金は月12万円、貯蓄は約1,000万円。住宅ローンを完済した自宅で、生活費をやりくりしています。

 

節子さんには長男と長女がいます。長男は遠方で暮らしていますが、長女の美紀さん(仮名)は車で30分ほどの場所に住んでおり、小学生の子どもが2人います。

 

節子さんは、娘一家と過ごす時間を何より楽しみにしていました。

 

「孫が小さいころは、娘が仕事の日によく預かっていました。夕飯を作って持たせたり、保育園のお迎えに行ったりもしましたね」

 

孫たちが小学生になってからは、預かる機会が減りました。それでも節子さんは、週に何度も娘へメッセージを送っていました。

 

「今週末は会える?」「孫たちは元気?」「何か食べたいものはある?」

 

返信がないと、翌日に電話をかけることもあったそうです。

 

娘一家が遊びに来る日は、朝から料理を用意しました。孫の好きなハンバーグや唐揚げを作り、帰りには菓子や果物を持たせます。

 

「娘たちが来ると家がにぎやかになりますから。帰った後は静かで、また早く会いたくなるんです」

 

ところがここ1年ほど、娘からの返信が遅くなりました。週末に誘っても、「子どもの習い事がある」「今週は家でゆっくりしたい」と断られることが増えたのです。

 

節子さんは、忙しいのだろうと思いながらも、つい次の予定を尋ねてしまいました。

 

そんなある日、娘との電話で「来月の連休はどうするの?」と聞くと、美紀さんから思いがけない言葉が返ってきました。

 

「お母さん、毎週予定を聞かれると、ちょっとしんどいんだよね」

 

節子さんは驚きました。

 

「会いたいと思って聞いているだけなのに……」

 

すると娘は、申し訳なさそうに続けました。

 

「分かってるよ。でも、返事をしていないうちにまた連絡が来ると、早く答えなきゃって焦るの。子どもたちも友達との約束が増えているし、家族だけで過ごしたい週末もあるんだ」

 

節子さんは「そうだったのね」と答えるのが精いっぱいでした。

 

電話を切った後、これまで送ったメッセージを見返しました。確かに、返信を待たずに何通も送っている日がありました。

 

「心配しているつもりでしたけど、娘には催促のように感じられていたんでしょうね」

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