「今週末は会える?」娘に連絡するのが習慣だった74歳女性
74歳の節子さん(仮名)は、夫を8年前に亡くし、現在は一人暮らしをしています。
年金は月12万円、貯蓄は約1,000万円。住宅ローンを完済した自宅で、生活費をやりくりしています。
節子さんには長男と長女がいます。長男は遠方で暮らしていますが、長女の美紀さん(仮名)は車で30分ほどの場所に住んでおり、小学生の子どもが2人います。
節子さんは、娘一家と過ごす時間を何より楽しみにしていました。
「孫が小さいころは、娘が仕事の日によく預かっていました。夕飯を作って持たせたり、保育園のお迎えに行ったりもしましたね」
孫たちが小学生になってからは、預かる機会が減りました。それでも節子さんは、週に何度も娘へメッセージを送っていました。
「今週末は会える?」「孫たちは元気?」「何か食べたいものはある?」
返信がないと、翌日に電話をかけることもあったそうです。
娘一家が遊びに来る日は、朝から料理を用意しました。孫の好きなハンバーグや唐揚げを作り、帰りには菓子や果物を持たせます。
「娘たちが来ると家がにぎやかになりますから。帰った後は静かで、また早く会いたくなるんです」
ところがここ1年ほど、娘からの返信が遅くなりました。週末に誘っても、「子どもの習い事がある」「今週は家でゆっくりしたい」と断られることが増えたのです。
節子さんは、忙しいのだろうと思いながらも、つい次の予定を尋ねてしまいました。
そんなある日、娘との電話で「来月の連休はどうするの?」と聞くと、美紀さんから思いがけない言葉が返ってきました。
「お母さん、毎週予定を聞かれると、ちょっとしんどいんだよね」
節子さんは驚きました。
「会いたいと思って聞いているだけなのに……」
すると娘は、申し訳なさそうに続けました。
「分かってるよ。でも、返事をしていないうちにまた連絡が来ると、早く答えなきゃって焦るの。子どもたちも友達との約束が増えているし、家族だけで過ごしたい週末もあるんだ」
節子さんは「そうだったのね」と答えるのが精いっぱいでした。
電話を切った後、これまで送ったメッセージを見返しました。確かに、返信を待たずに何通も送っている日がありました。
「心配しているつもりでしたけど、娘には催促のように感じられていたんでしょうね」
