「これが最後だからね」71歳女性が孫の学費を負担した理由
71歳の千鶴さん(仮名)は、地方都市の分譲マンションで一人暮らしをしています。
夫とは50代で離婚し、現在の収入は月約18万円の年金です。住宅ローンは完済しており、貯蓄は約2,000万円。日々の生活に大きな不自由はありません。
千鶴さんには、45歳の長女・佳奈さん(仮名)と、大学進学を控えた18歳の孫がいます。これまでも誕生日や入学祝いには贈り物をしてきましたが、まとまった金額を援助したことはありませんでした。
その年の春、孫は県外の私立大学への進学が決まりました。千鶴さんも合格の知らせを喜び、入学を楽しみにしていたといいます。
ところが入学手続きが始まった頃、佳奈さんから学費について相談したいと電話がありました。
「大学の入学金と前期の授業料、それに一人暮らしの準備で、思った以上にお金がかかりそうなの」
佳奈さん夫婦は教育費を積み立てていたものの、受験費用や引っ越し費用が重なり、手元の資金が足りなくなっていたといいます。
「できれば150万円、援助してもらえないかな。もちろん無理なら断ってくれていいから」
千鶴さんはすぐには返事をしませんでした。
年金18万円から管理費や食費、医療費などを支払うと、毎月の支出は約16万円。余裕はあるものの、今後の介護費用や住宅設備の交換なども気になります。
「150万円は、私にとっても簡単に出せる金額じゃありませんから」
それでも、孫が希望する大学に合格したと聞き、力になりたい気持ちが強くなりました。
数日後、千鶴さんは佳奈さんに電話をかけました。
「学費は出す。でも、これが最後ね。私もこれから何があるかわからないから」
佳奈さんは「本当にありがとう。助かる」と何度も礼を言いました。
千鶴さんは、孫の入学金と授業料の一部として、150万円を援助することにしました。大学から届いた納付書を確認し、佳奈さん夫婦と相談したうえで、必要な金額を大学へ直接振り込みました。
「孫のために使うお金なら、惜しくないと思ったんです。ただ、これ以上の援助は難しいこともわかってほしかったですね」
ところが、その後の家族のやり取りで、千鶴さんは思いがけない気持ちになることになります。
