2年後に見直した住まいの価値
健吾さんも、妻の言葉には思い当たることがありました。
「購入前から駅が遠いことはわかっていました。でも、実際に暮らしてみると、毎日の負担は想像より大きかったんです」
特に影響が大きかったのは、共働きの生活です。
夫婦は以前、駅徒歩7分の賃貸マンションに住んでいました。通勤時間は片道約40分でしたが、新居からは約65分かかります。
出社する日は、それぞれ片道25分、往復で50分ほど移動時間が増えました。
「週に何度もあることなので、積み重なると大きいですね。娘と過ごす時間も減ってしまいました」
国土交通省『令和5年住生活総合調査』では、住宅や居住環境について「最も重要」「次に重要」と考える項目を合わせると、「日常の買物などの利便」が40.3%、「通勤・通学の利便」が23.4%でした。
また、同調査では、18歳未満の子どもがいる親子世帯が居住環境で最も重視する項目として、「通勤・通学の利便」が42%を占めています。子育て世帯にとって、移動のしやすさが重要な条件であることがうかがえます。
健吾さん夫婦も、通勤や買い物の負担を減らす方法を考え始めました。
まず、庭の管理について業者に相談したところ、雑草対策として一部に防草シートと砂利を敷く工事を提案されました。費用は約18万円です。
「庭で遊ぶ場所は残して、手入れが大変な部分だけ変えることにしました」
さらに、家計を見直すと、車の維持費にも目が向きました。
以前はカーシェアを必要なときだけ利用していましたが、引っ越しを機に中古車を購入。ガソリン代や保険料、税金・車検費用の積み立てなどで、月平均約3万円かかっています。
「マンションの管理費や駐車場代を節約できると思っていたのに、こちらでもいろいろお金が必要でした」
もっとも、5,000万円の戸建てと7,000万円のマンションでは、住宅ローンの負担に大きな差があります。健吾さんも、戸建てを選んだこと自体が間違いだったとは考えていません。
「2,000万円の価格差には、駅からの距離や生活の便利さも関係していたんだと思います。安い理由を知らなかったわけではないけれど、その影響を甘く見ていました」
夫婦は今のところ住み替えを考えていません。娘が庭を気に入っていることもあり、できる範囲で暮らしを整えていくつもりです。
住宅購入では、物件価格や間取りに目が向きがちです。しかし、通勤や買い物にかかる時間、車の必要性、庭の管理など、購入後に続く負担もあります。日常の生活動線まで具体的に想定することが、長く納得して暮らせる住まい選びにつながるでしょう。
【関連記事】
■月20万円もらえるはずが…45歳・サラリーマン「ねんきん定期便」に抱いた違和感。「年金ルール」知らずにそのまま20年…65歳で受け取ることになる年金額に唖然「何かの間違いでは?」
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

